
5年越しの再会
――まずミュージシャンのお2人、伊藤さんと櫻木さんは繋がりがあったんですか?
伊藤暁里(Taiko Super Kicks)「2015年に対バンしてるんです」
櫻木大悟(D.A.N.)「そうそう。そのとき僕らは、ライブをするのがまだ1回目か2回目くらいで」
伊藤「けっこう鮮明に覚えてる。〈ポーティスヘッドっぽいよね〉〈マイケル・フランクス、好きなの?〉みたいな話をして」
――城監督と伊藤さんの繋がりは?
伊藤「実は、MMT(Modern Music Troop)っていう早稲田大学のサークルでちょっと一緒だったんですけど、深い繋がりはなくて」
城真也(映画「アボカドの固さ」監督)「きちんとやりとりをしたのは、 “低い午後”のミュージック・ビデオ(2016年)の撮影のときでしたよね」
伊藤「あのMVは2016年の元日に撮ったので、2015年から話をしてたんです。それで思い出したんだけど、D.A.N.と対バンしたのも2015年で、“低い午後”を初めてやったのがそのライブだったんですよ」
失恋男の日常 × 冷たい電子音
――5年越しで3者がコラボレーションしているというのはすごいですね。櫻木さんと城さんの繋がりはいつから?
城&櫻木「……2000年から(笑)」
城「深沢にある、とある小学校で出会いました」
――同級生なんだ!?
城「そうです。中学卒業から高校入学にかけて近い界隈で音楽を始めて、それぞれのバンドで活動してました。その後も友人関係は続いてたんですが、今回、僕が長編映画を撮ったから音楽をやってほしいとオファーをして」
――どうして櫻木さんに頼もうと思ったんですか?
城「失恋男の日常を淡々と描く映画に、冷たい質感の電子音を付けたいというアイデアがあったんです。ただ、リズムが立ったサウンドより、アンビエントっぽいものをイメージしていたので、今回はD.A.N.というよりはソロでやってほしいと思い、大悟にお願いしました」
――櫻木さんにオファーしたのはどの段階で?
櫻木「僕はDJとしてエキストラで参加しているんですけど、撮影のときに音楽をやるかどうかは決まってなかったかな」
城「DJシーンの撮影段階で、音楽をやってもらいたいという話はちょっとしたかも。タイミングを見て、正式にお願いしたと思います。大悟がDJでかけている(篠崎)奏平の曲のリミックス(FLATPLAY“Natural Theft (Daigo Sakuragi remix)”)を使わせてほしいとは言ってたんだよね」
櫻木「差し替える話もあったんですけど、あれ以外思いつかなくて。もっとかっこいいのを作れたかもしれないけど(笑)」