ポスト・クラシックというジャンルがあるとすればこういう音楽のことも、そう言うべきなのではないだろうか。そうでなければこのアルバムのような作品集は、何かの、誰かのインスト集のようなことで片付けられてしまうだろうし、実はそういう作品がいま、増えているという大切な事がシーンとして浮かび上がってこないと思う。アントニオ・ロウレイロという才能をもっと広く認知するための言葉として、もはやブラジルミナス派といった類いの言葉は、あまりにも小さい。ヴァイオリニストと本人の演奏が綴る音楽は、これまでにも増して構築的であるがゆえに室内楽そのもの、なのだから。