3度目の新生から早くも1年——状況の変化に瀕してもストイックに邁進する4人から鬱屈した時代を射抜く新作が到着! 剥き出しのBiSを感じろ!
セカンド・アルバム『LOOKiE』とツアーの成功で威勢良く幕を開けたはずだったBiSの2020年。状勢の変化に伴うツアー延期~中止などの余波を食らいながらも、4月に新曲“IT'S TOO LATE”を無料公開して以降、5月に“DESTROY”、6月に“CURTAiN CALL”をオンラインでゲリラ販売し、6月20日には無観客配信で全曲披露のワンマン〈HEART-SHAPED BiS IT'S TOO LATE EDiTiON NO AUDiENCE LiVE〉を開催、7月にはカセットテープで“イミテーションセンセーション”をゲリラ販売……と歩みを止めずに進んできました。こうした期間の集大成となるのが、今回登場した初のEP『ANTi CONFORMiST SUPERSTAR』です。マネージャーの渡辺淳之介が引き続き大半の作詞を担い、松隈ケンタ率いるSCRAMBLESも焦点の絞れたサウンドでエモーショナルな楽曲を提供。始動から1年を経た4人の逞しい表現が炸裂する力作になっています。

曲が気持ちを代弁してくれる
――今回のEP収録曲でいうと、自粛期間の4月にまず“IT'S TOO LATE”の音源公開がありましたね。
イトー・ムセンシティ部「コロナが流行り出して、〈しばらくライブできないかも〉みたいに言われ出してきた時期に作ってて」
――まさにその状況下の気持ちを歌ったようなタイムリー感のある歌詞は、渡辺さんとモンさんの共作という形ですね。
チャントモンキー「私が書いたそのままな部分はほとんどなくて、自分で言葉にできなかったことを渡辺さんにうまく言い換えていただいた感じです。〈あっ、こういうことが言いたかった〉って(笑)」
トギー「非常事態のギリ宣言前みたいな頃だったから、その時のうちらの気持ちも代弁してくれてるんだよね」
――これが最初にあった曲なんですか?
モン「その前に“DESTROY”と“イミテーションセンセーション”がありました」
トギー「その2つは、WACKオーディション合宿の前にもう作りはじめてましたね」
ティ部「まだ危機感も薄かったけど、急に状況が変わっていく時期だったし、その2曲を貰えて嬉しかったのを覚えてます」
――EPでもそのまま1、2曲目になって。
モン「はい。“DESTROY”はEPの最初に相応しい曲です。イントロから全部ブッ壊すような〈ジャッジャ~ン〉っていう音があって、ライヴでも1曲目にやったら凄い盛り上がりそうだし」
ティ部「先陣切ってくる感じがするよね」
トギー「サビの〈敷かれたレール壊し ギャンギャンならそう〉とか、自分が人生の岐路に立った時に言われたかった言葉だなって。何かに迷ってる人に聴いてほしいです」
――EP全体を通じて、あえて言葉を選んでないような歌詞の強さを感じます。
ネオ・トゥリーズ「反抗的というか、けっこう強めの曲が確かに多いかも」
トギー「渡辺さんの歌詞って時期によって伝わってくる感情が違うんですけど、今回はめっちゃ強気で嬉しくなりました(笑)」
――それを歌う皆さんの歌も強くなって、〈サビはこの人〉とかじゃなく、全パートを全員で分け合ってるような印象です。
トギー「確かに全員が目立つ感じになってます。嬉しいね」
ネオ「ここの歌詞はこの人で、っていう歌割もあるし」
モン「そう、トギーがガヤを録るとか、ネオの上ハモを録ろうとか決めながら、レコーディングも前よりはスムースに進められた気がします」
――そこは1年やってきた賜物ですね。で、2曲目はカセットテープで出ていた“イミテーションセンセーション”です。
モン「この曲は特にネオの泣き節というか、高音でたまにくる切ない雰囲気の歌い方が新しいネオという感じで引き込まれて。ネオのラスサビを聴いて泣いたんですよ」
ネオ「え~」
ティ部「ネオ・ネオだね(笑)」
弱さも剥き出しにしてる
――続く“DiRTY and BEAUTY”はEP用の新曲になりますね。
ティ部「EPのなかでは “CURTAiN CALL”に次ぐ明るい曲です」
モン「めっちゃ短いし、サビが2回しかないのも珍しい。歌声がみんな可愛いです」
ネオ「トギーが可愛い。こんな歌声を使い分けてるのが凄いよ(笑)」
トギー「歌詞が可愛いから。いちゃいちゃカップル層にもハマりそうな感じ(笑)」
モン「こんなストレートに誰かを想う歌詞ってBiSにとっては新鮮かなって思います」
ティ部「うちらにとってはBiSを想って歌う感じなのかな」
トギー「そうなんだよね。幸せな気持ちになれる。でも曲調はドラムがずっと激しいメロコアみたいなサウンドで、歌詞とのギャップがいいなって思います。ゆっくりしたAメロで終わるのも」
ティ部「余韻が残る感じ」
ネオ「リズムも珍しいし、終わり方も珍しいし、歌詞も可愛くて、いろんな特徴が合わさってるから印象に残るんだよね。いちばん好きな曲です」
――続いては、リード曲になる“I WANT TO DiE!!!!!”です。これは昨今の誹謗中傷に対するメッセージもあるような、重たい歌詞です。
ティ部「はい。メッセージ性も強くて凄いカッコイイ曲だけど、MVがそれを忘れるぐらいのインパクトで(笑)。青い鬼にアヘ顔で絞め殺されて、そこから桃太郎の世界のキャラに転生して、仕返しに行くというストーリーです」
ネオ「言葉で説明するとあれだけど、映像で観たらホントにヤバイよね(笑)」
――MV監督は山田健人さんですね。
トギー「そうです。“DEAD or A LiME”や“STUPiD”でもお世話になって、BiSとの信頼関係もできてきたのかな?って」
ティ部「私たちもお会いする機会が増えたので、安心してふざけられました(笑)」
モン「〈もっと舌出して!〉とかコツを指導してくださって。カットがかかった後に、〈俺は何を言ってるんだ……〉って(笑)」
トギー「でも、ホントに良い曲です。心の内をさらけ出した、人の弱さ全開みたいな曲で、〈そのまま ありのままでなんて 弱すぎるし 出来やしないよ〉っていうフレーズがあるんですけど。ちょうどWACK合宿で〈ありのままでいいわけないじゃん〉っていう言葉を何度も聞いた後に歌詞を貰ったから、共感のオンパレードだった」
モン「〈ありのままでいよう〉って言われがちな世の中に、そう言えるのが凄い」
トギー「ありのままの自分を昇華して、もっと素敵な自分にならなきゃいけないと思うし、常に進化し続けなければいけないBiSにも沁みる曲です」
モン「あと、さっき言ったネオの新しい歌い方にこの曲でも引き込まれます」
トギー「1年前に〈感情ないです〉とか言ってた人が感情丸出しで歌ってて」
ネオ「強く見せてる人が表に出せない弱さも剥き出しにしてる感じで。共感できる歌詞だから感情を込めやすかったのかな」
トギー「人に言えない本音を歌が代弁してくれてる。〈僕はそう確かに 変なのかもしれないや まぁいいじゃん 狂ってる方が心配しないでしょ?〉のパートを録る時、松隈さんに〈ここはトギーに合うと思うんだよね〉って言われて嬉しかった」
モン「うん、そこをトギーが歌うのはエモいなって思った」
トギー「うん。変なふりしてたほうが心配されないから、変な子でいるみたいな」
――本音が出てしまった(笑)。
トギー「ホントはどうか知らないですけど」
モン「そういうとこね(笑)」
トギー「やべー。けど、ホントに誰でも自分に置き換えられる曲だと思います」
――はい。で、唯一ゆったりしたテンポの“GETTiNG LOST”が続きます。
トギー「8分の6拍子は初めてで、歌が難しかったです」
モン「難しかった。レコーディングは世界観を大事にして入り込めるように、一人一人に違うシチュエーションのディレクションをしてもらって。私だったら、〈上京して下北でひとり暮らしで、窓の外を眺めながら歌ってる感じで〉とか。具体的なディレクションもあったから感情が作りやすかったです」
ネオ「歌詞も好き。つらかった日の日記みたいな感じで、いつかの記憶とか、昔の自分を思い出せるというか」
ティ部「そういうふうに振り返れる曲でもあるし、いま必死に生きてる人にこそ刺さる曲だと思いますね」

最高の時間が続いてほしい
――そしてラストは“CURTAiN CALL”ですね。これは無観客ワンマンの最後で初披露されたのも印象的でした。
トギー「これはライブがあと少しで終わる時の感情が直球の言葉で歌詞になってて、実際に無観客ライブの最後で初披露した時はこの通りの気持ちになりました」
ティ部「〈カーテンコール〉のイメージでモンちゃんが振付けを考えたんですけど、渡辺さんに〈終わりたくない曲なのに、終わらせちゃダメ〉って指摘されて」
モン「それで〈最高の時間が続いてほしい〉みたいな気持ちで作り直しました。最近の振付けはみんなに2パターン動画を送って〈どっちが良いかな?〉とか意見をもらったりする作り方で、みんなも積極的に意見を出してくれるし、協力して作り上げてる感が凄いあります。“CURTAiN CALL”でもティ部がサビの新鮮で可愛い振りを考えてくれて」
ティ部「ありがとう(笑)。これはライブで育っていきそうな曲で、音源ももちろん良いんだけど、特にライブで観てほしいなって思える曲ですね」
――余談ですが、この曲のMV〈101回目のカーテンコール〉公開の数日前に、CY8ERさんが配信ライヴで武道館での解散を発表されたじゃないですか。
トギー「観ました。〈CY8ERなりの横浜アリーナ〉ってビックリしました。諦めないのも凄いし、りなはむさんの中にそこまでBiSが残ってるんだって」
――その数日後に〈101回目のカーテンコール〉を観たので、続いてないようで続いてるというか、BiSの重みを改めて感じてしまいました。
トギー「エモさが凄いです」
――それはそれとして。リリース後も当面は試行錯誤の状況が続いていきそうですね。
ティ部「私たちはいつでも出れる準備はしてるんですけど、自分たちより待ってくれてる人たちのことが心配ではあります。やっぱり〈ライブが生き甲斐だった〉って言ってくれる人がたくさんいるので」
トギー「仕事とか学校とかみんなの日常は止まれないのに、みんなの生き甲斐のライブが止まってる状態だから」
ティ部「そのなかでどうやったら楽しんでもらえるのか、考える日々ではありますね」
トギー「でも、そこで私たちは悲しんでられなくて。もちろん悲しいし寂しいけど、止まらないぞっていう気持ちでがんばっているので、曲を聴いたりしてどうか楽しみにしててほしいなって思います」
9月9日にリリースされる2019年公開作のDVD「IDOL -あゝ無情-」(WACK)
BiSの作品。