Page 3 / 3 1ページ目から読む

ティー・グリズリーのブレイクで盛り上がる現在

転機となったのはティー・グリズリーのブレイクだ。ティー・グリズリーは、『Boss Yo Life Up Gang』にも参加していたプロデューサーのヘラヴァ(Helluva)と組んで2016年にシングル“First Day Out”を発表した。現行デトロイト・サウンドの上で出所した初日の気持ちをスピットした同曲は大きな話題を呼び、ジェイ・Zからの称賛も受けティー・グリズリーは一気に高い人気を獲得。その後も精力的に活動し、トラップ系のビートにも乗りつつもデトロイト・サウンドにもしっかりと乗ってブレイクを果たした。

ティー・グリズリーの2017年作『My Moment』収録曲“First Day Out”

また、デトロイト出身でベイエリアに移住したパブロ・スカイウォーキン(Pablo Skywalkin)のようなラッパーも登場。2パックやトゥー・ショートとMCブリードの時代から始まり、E-40らが継続して繋げてきたベイエリアのコネクションもより深まっていった。

CTEを離脱してインディーに戻っていたドウボーイズ・キャッシュアウトのペイロール・ジョヴァンニも、カルド・ガット・ウィングズ(Cardo Got Wings)とのタッグで発表した作品などが高い評価を獲得し2017年にはメジャーに復帰。さらにサダ・ベイビーやFMB DZなど次々と個性豊かなラッパーが登場し、今ではデトロイトは全米屈指の良質(悪質?)なギャングスタ・ラップの産地となった。テキサスのミーガン・ジー・スタリオン(Megan Thee Stallion)が今年3月にリリースしたEP『Suga』にもヘラヴァがいつも通りのビートを提供するなど、他エリアにもデトロイトのサウンドが浸透しつつある。

ペイロール・ジョヴァンニ&カルドの2017年作『Big Bossin’ Vol. 1』収録曲“Faded”

ミーガン・ジー・スタリオンの2020年作『Suga』収録曲“Ain’t Equal”。プロデューサーはヘラヴァ

まずはサダ・ベイビーの本格的なブレイクが予想されるが、これからどんなアーティストがデトロイトから成功を掴んでいくのか。この先も目が離せない。