1. 出身地と音楽活動を始めたきっかけ(バンドであれば結成のいきさつ)について教えてください。

「私たちは台湾の高雄で結成され、現在も拠点として活動しています。曲のほとんどはヴォーカルの依玲(イーリン)によって書かれています。初期の頃に書かれた曲はトピックとして、環境問題や社会問題を扱うものが多かったです。

結成から5年ほど経ちますが、金音創作獎(Golden Indie Music Awards)を受賞したり、メンバーの脱退や新メンバーの加入を経て、今年、ようやくファースト・アルバムをリリースしました。少しずつですが、ミュージシャンとして生計が立てられるようになってきました」

2. 現在の音楽性に影響を与えたと思うアーティストや楽曲は?

「音楽的な影響についていうと、メンバーそれぞれ異なります。台湾のポップ・ミュージックももちろん聴いてきましたし、幼少期からピアノを習うなど、クラシックの素養のあるメンバーもいます。

私たちが本格的にロックを聴き始めたのは大学に入ってからで、WindmillTizzy BacSheng Xiang & BandFire EX. 滅火器1976といった台湾のバンドから大きな影響を受けました。日本のアーティストだとサニーデイ・サービスミツメbloodthirsty butchersフィッシュマンズなどはメンバー全員が好んで聴いています」

3. 今回TOWER DOORSで紹介した曲はどんなふうに生まれた曲で、どんなことを表現していますか?

“永和 Dear Friends”

「とても現実的な曲なんです。20歳から30歳くらいまでの、私たちと同世代の人たちが感じている不安について歌っています。私たちが拠点とする高雄は台湾南部の都市です。なので、ライブなどアーティストとしての仕事をするために台北へ行くことが多く、その時はいつも永和区という場所に住む友人の家に泊めてもらうんです。そして、不安はどこに行ってもつきまとってくるものです」

4. 交流のあるアーティストでいま注目しているのは?

「一年前からアルバム制作にとりかかり始めてからというもの、アーティストの友達とあまり交流できていないのは残念なことです。アルバムが発売されたのは6月ですが、まだ忙しく、なかなか余裕が持てません。

それでも繋がりのある音楽関係者たちはいて、互いにリスペクトもしていますが、現状はSNSなどで近況を共有するにとどまっています。ライブなどで会えば飲みに行って話したりもします。deca joinsElephant Gymといったバンドとは仲が良いですが、今は皆が忙しくしています」

5. TOWER DOORSは新しい音楽との出会いを提供することをコンセプトとするメディアですが、あなたが最近出会った新しい音楽は?

「最近、私たちは古い音楽から多くの気づきを得ました」

依玲「最近Nina Simoneから影響を受けました。Thelonious MonkWilcoも好きです」

堂軒Death Cab For Cutieの作品を全て聴きました。彼らの音楽は素晴らしい」

方博「ブラジル音楽に興味があります。João Gilbertoを聴いていて、ボサノバの音楽的な仕組みについても知りたいと思っています」

紅茶「アメリカのギター・レジェンド、Jeff Parkerの作品を聴いています。彼の音楽には繰り返し使用されるリック(よく使われる短いフレーズ)が多く、聴くたびに新たな発見があります」

6. ライブやリリースといった今後の活動や、やってみたいことなど、これからの展望について教えてください。

「私たちのファースト・アルバム『The Village 不完整的村莊』は8月5日、日本でも発売されました。なので、日本でもライブをやりたいです。2018年、下北沢で3回ライブをしましたが、スタッフはプロフェッショナルでしたし、オーディエンスもクレイジーで、とても印象深い経験でした。ラーメンの美味しさも忘れられません。日本でもっといろいろな場所を訪れてみたいです。今は、皆の健康と安全を祈っています。ファンの皆さん、近いうちに会えるといいですね。

アルバムのリリースに合わせて、先月、台湾で大きなライブが3つ行われました。今後は台湾のより小さな都市をツアーして回りたいです。他にもいくつか大きなショーを控えています。来年は新曲の制作に取りかかりたいです」

 

最後のコメントにもあった通り、淺堤 Shallow Levéeは、今年の8月にファースト・ アルバム『不完整的村莊 The Village』をリリースしています。気になった方はぜひ聴いてみてください。

 


RELEASE INFORMATION

淺堤 Shallow Levée 『不完整的村莊 The Village』 Tron(2020)