痛みと喜びを届ける詩的で昂揚に溢れた手紙――通算20枚目のオリジナル作で、Eストリート・バンドとの録音は『High Hopes』(2014年)ぶり。近年は自伝や舞台~映画での回想的な表現を軸に、昨年の『Western Stars』も管弦を導入した異例の古典ポップス風味だったわけで、直球のバンド作品が恋しかった人も多いだろう(しかもオーヴァーダブなく5日間で一発録り!)。とりわけエモーショナルな表題曲や天国の仲間たちに力強く捧げた“Ghosts”、劇的なピアノ・ロックの“House Of A Thousand Guitars”、率直なノスタルジーの滲む“Last Man Standing”あたりには心が震えないはずがない。ディランっぽさも微笑ましい若き日に書いた未音源化曲を歌う様も、過去からの手紙を70代の彼が受け取ったようでグッとくる。