雑踏の中で信号待ちをしている時とか、混雑した飲み屋で飲んでいる時、誰かが発した言葉が一瞬耳に入って気になって、ふっとそちらの方向を見る。誰がその言葉を発したかも分からず、すぐ雑音にかき消されてしまうけど、また別の気になるワードが聴こえてきて、さっきの言葉と意味は繋がっていないのに、だんだんそれらが自分の中で意味を持ち始める。そんな些細なことがきっかけで、忘れていた景色を思い出したり、妄想にふけっていったり……。ODD Foot Worksの作品は、そんな感じでいつも強烈に新しいのにどこか懐かしい感覚を呼び起こす。
自主レーベルTokyo Invaderからリリースする第1弾作品は、長くはない人生の儚さを感じさせる“ULTRA”や、パッキパキのトラックにバッキバキのベースが光る“Papillon”など4曲を収録。Pecoriから放たれるマシンガンのごときラップを聴くと、まるで都会の雑踏みたいに様々な言葉が通り過ぎていくけれど、混沌とした中に一本芯が通っているのは、つまり“浪漫飛行機”のパンチラインで言ってる通り〈お前が俺を見てて カッコよければ何でもいい〉ってことだと思う。