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過去作で振り返るSuiseiNoboAzのオリジナルな歩み

武骨なアンサンブルで繰り出す換骨奪胎のファンクやヘヴィーなオルタナ・チューンといったサウンド面の個性のみならず、〈ジーザスった〉などふいに耳を捉える特有の言語感覚もこの初作ですでに開花。全体に通底するハードボイルドなロマンティシズムに、石原とプロデュースを担った向井秀徳との共通点が。

SuiseiNoboAz 『THE (OVERUSED) END OF THE WORLD and I MISS YOU MUH-FUH』 SuiseiNorecoRd(2011)
ミニマルなリフとリズミックなメロという特性は伸ばしつつ、メンバー同士の火花散るプレイが目に浮かぶような太いアンサンブルが強烈な2作目。アルバム全体を覆うゴリゴリのドライヴ感とダイナミズムが抜けの良い空気を呼び、哀愁と熱量の入り混じる歌がストレートに聴き手へ届く。

メジャーからのリリースとなった3作目は、それまでにない柔和さを湛えたオープニングにいきなり驚愕。従来のアグレッシヴなハードコア気質が鎌首をもたげるカオス・チューンも要所に置きながら、ピアノやシンセを交えたエフェクティヴな音作りがこのバンドの〈サイケ感〉に新たな表情を与えている。

SuiseiNoboAz 『liquid rainbow』 SuiseiNorecoRd(2017)
メンバーの脱退により一時はソロ・プロジェクトとなったのち、新たな4人組として再出発しての4作目。ヒップホップ色を強めた表題曲の他、ファズ・ギターや変則ビートが交錯する楽曲の数々は〈らしさ〉がフレッシュにアップデートされたことを告げている。その一方で、開放的なメロの楽曲が増えた点も印象的だ。