架空のラジオのジングルやポエトリーを挿みながら、社会派ソングと性愛ソングをアルバム内に両立させた1年半ぶりの新作。コリーグスが全面プロデュースしたサウンドは統一感があり、趣はさながら現代版ニュー・ソウルだ。マーヴィン・ゲイを引き合いに出して現状を憂う“Marvin Used To Say”や穏やかな“Up For Air”などの味わい深いソウル路線から、90年代R&Bテイストの香るセンシュアルなスロウ“Deep Deep”まで滑らかなファルセットが冴え渡る。コンシャスなシンガーとロマンティックなバラディアーを〈Love〉の名の下に一手に引き受ける佇まいは毎度素晴らしく、敬愛するマーヴィンをはじめとするソウルの先人たちがやっていたことを引き継ぐ決意のようなものさえ感じられる。