2019年12月。歌舞伎の世界に於いて新たな幕がおろされた。宮崎駿監督の代表作「風の谷のナウシカ」。その独特な世界観に尾上菊之助は惚れ込み、歌舞伎として誕生させることに長年努めてきた。映画では描ききれなかった原作7巻を、なんと約6時間という昼の部、夜の部通して上演。その舞台は、古来からの歌舞伎の技巧を勿論継承しつつ、新しい作品を作り出している。出演者の演技だけでなく、美術、音楽、演出は輝かしいほど新鮮さがあり、観客は序幕から大詰まで目を離すことができない。数多くの作品が今日この時代に受け継がれてきたように、本作もまた未来永劫、観劇され続けていくに違いない。