STUDIO GHIBLIから初LP化! コレクター垂涎のジャケット新バージョン!
その透明感際立つ〈郷愁〉はもはや世界基準であり、人種や国籍などに関係なくあらゆる人の心に棲みついているということを、例えばジョバンニ・ミラバッシのニュー・アルバム『MITAKA CALLING -三鷹の呼聲-』の素晴らしさに触れ、改めて気づいたりする。遠く離れた見知らぬ土地に思いがけずふるさとの匂いを感じ取ってしまい泣きたい気持ちになってしまう……そんな感覚を淡く繊細な色彩を湛えた音色で表現したあのアルバムでのミラバッシだったが、そもそも久石譲のスコアの多くがそういった性質を備え持っており、メロディ自体がどこかいつも遠い目をしているように思えたりもする。そんな氏のメロディの特徴が際立った作品がちょうど復刻されることになった。
『魔女の宅急便/イメージアルバム』『魔女の宅急便/サントラ音楽集』『紅の豚/イメージアルバム』『紅の豚/サウンドトラック』の4作品がジブリ・アナログ復刻計画の第2弾としてリリースされるのだ。
2018年11月3日の〈レコードの日〉に第1弾アイテムとして選ばれたのは『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』といった初期3作品の音盤だったが、今回のラインナップもジブリ・ファンならびにサントラ愛好家などから根強い人気がある。いずれも単独でのアナログ化はこれが初めてで、価値のあるリイシューといえよう。
まずは 『魔女の宅急便/サントラ音楽集』から。ヨーロッパのいくつかの街をモデルにして描かれた1989年作のサウンドトラックには、当地の舞曲をモチーフにしたものなどヨーロピアン・エスニックの香りが漂うスコアが多く並んでおり、挿入歌として使われた荒井由実の“ルージュの伝言”や“やさしさに包まれたなら”もどこか異国情緒をまとっているように感じる。それにしても、オープニング曲の“晴れた日に…”、メインテーマといってもいい“海の見える街”の美しさ、切なさったらなく、ジブリ・メロディの最高峰と位置付けていいだろう。
続いて、ほぼ70名のフル・オーケストラをフィーチャーしてレコーディングされた『紅の豚/サウンドトラック』。“帰らざる日々”をはじめ、文字どおりレトロチックなサウンドに彩られた一枚で、加藤登紀子が歌う“さくらんぼの実る頃”や“時には昔の話を”もセピア調に彩られた名曲。
そして『魔女の宅急便/イメージアルバム』と『紅の豚/イメージアルバム』は、宮崎駿監督からの説明を受けながら久石譲が想像を縦横無尽に膨らませながら作られた楽曲が並ぶイメージアルバムだが、地中海のムードを取り込んだ前者、1920年代末期のヨーロッパやイタリアに思いを馳せた後者ともに、ノスタルジーとファンタジーが組み合わさった音のつづれ織りというべきもので、サントラとはひと味違った音楽旅行が楽しめる。いずれも最新マスタリング音源を使用。ジャケットのデザインも変更されており、CDサイズでは得られなかった新たな感激をもたらすはず。宝物にしたい。