ジブリ作品LP化に人気作品2タイトルが11月3日、レコードの日にリリース!

 スタジオジブリ作品のアナログ盤シリーズに「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」の2作品が加わった。いずれのアルバムも、これが初のアナログ盤化である。

 この2作品にも共通している美徳は、久石譲による主題曲、ないしは主導動機が明瞭だということ。「千と千尋の神隠し」ではイメージアルバム内の“あの日の川”なる抒情的な楽曲が、「ハウルの動く城」では宮崎駿が“人生のメリーゴーランド”と名付けたワルツ曲が全編を貫いており、それぞれ10歳の少女、老婆に変身させられた女性の心情を情感豊かに切り取った。

 主題動機が徹頭徹尾、一貫しているという点では「ハウルの動く城」に軍配が上がる。ある種の力業ともいえる同作品のワンテーマ采配を前にすると、「千と千尋の神隠し」における音楽には至るところに別種のモチーフ、アジア的民族音色があふれて、そのにぎやかなこと、あたかも湯屋の喧噪のごとし、であろう。もちろん、それは色彩的とも換言することができ、食べ物にたとえるなら「千と千尋の神隠し」が惣菜満載の幕の内弁当、「ハウルの動く城」が妙味のきいた卵かけご飯となるか。どちらにしても美味しいということに変わりはない。

 両作品は、木村弓作曲の主題歌が終幕を飾るということでも共通している。主題歌にかかわることができなかった 「千と千尋の神隠し」から一転、久石は「ハウルの動く城」において主題歌の編曲を強く申し出た。音楽的な一貫性にこだわったゆえである。ある意味、リターンマッチともいえ、優雅なワルツの果てに作家としての熱い意地を見るのもこのアルバムの楽しみのひとつだ。

 実のところ“あの日の川”を主題歌に昇華させる案も当初あった。結果、それは覚和歌子の作詞、木村の歌唱によるテーマ“いのちの名前”としてシングルCD化されることで落着している。今回、ボーナス収録でもかなっていたら、それはそれで面白かったろう。