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ジョン・グラント(John Grant)、待望の新作からのシングル“Boy From Michigan”など今週の洋楽ベスト・ソング

【Pop Style Now】2021年3月19~26日

ジョン・グラント(John Grant)、待望の新作からのシングル“Boy From Michigan”など今週の洋楽ベスト・ソング

田中亮太「Mikiki編集部の田中と天野が、海外シーンで発表された楽曲から必聴の楽曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。正直、今週はあまり話題性のあるニュースがなくて……(苦笑)。仕方がないので、この一週間でちょくちょく発表されていた情報をふまえて、今年のフェスの動向について話しましょうか」

天野龍太郎「だいぶ適当な始め方ですね(笑)! まず先週、アメリカのビッグ・フェス〈コーチェラ〉が2022年4月まで延期されることが発表されました1月にはイギリスの〈グラストンベリー〉の中止が2年連続で決まったし、やっぱり今年もフェスの開催は難しいんだろうなと思いました。TOWER DOORSの小峰崇嗣くんが2019年にレポートを書いてくれた、インディー・バンドの登竜門的なロンドンのフェス、〈グレート・エスケープ〉は第1弾ラインナップが発表に。ただ、今年はオンラインでの開催です」

田中「そんななか本日、〈FUJI ROCK FESTIVAL ’21〉の開催が発表。今年は国内アーティストのみが出演します。今週、SMASHやクリエイティブマンなど、日本のフェス事業者がフェスティヴァルの開催に向けた情報共有やガイドラインの作成を行うための共同団体、〈野外ミュージックフェスコンソーシアム〉の設立が発表されたばかりなので、このアナウンスはうれしいですね」

天野「というわけで〈フジロック〉には、〈PSN〉で取り上げているアーティストは出演しないと思いますが、いち音楽ファンとしてはどんなラインナップになるのかが楽しみです。4月には出演者の発表もあるみたいですし。それでは、今週のプレイリストと〈Song Of The Week〉から!」

 

John Grant “Boy From Michigan”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉はジョン・グラントの新曲“Boy From Michigan”! 6月25日(金)にベラ・ユニオン(Bella Union)からリリースされる待望のニュー・アルバム『Boy From Michigan』のタイトル・トラックです」

田中「ジョン・グラントは米ミシガン生まれ、コロラド育ちのシンガー・ソングライター。もともとはサーズ(The Czars)というバンドのフロントマンで、ソロ・デビューは2010年。ゲイであり、またHIVポジティヴであることもオープンにしています。『Pale Green Ghosts』(2013年)でのブレイク以降、そのアイデンティティーを表現した歌やシンセ・ポップ・サウンドが高く評価されていますね。日本ではフィギュア・スケーターの高橋大輔さんが彼の楽曲を使ったことが話題になりました」

天野「ジョン・グラントといえば、2016年のMikikiのインタビューや、2019年に来日したときに田中宗一郎さんと木津毅さんが対談した記事がおもしろいので、ぜひ読んでください。この新曲は、まずカヴァー・アートと〈ミシガンから来た少年(Boy From Michigan)〉という曲名が最高。11歳のときの体験をもとに子どもから大人への移行を表現している、というところも素晴らしいです。プロデュースはケイト・ル・ボン(Cate Le Bon)。彼女とグラントは共演経験があるのですが、この組み合わせはちょっと驚きました。それも納得の仕上がりで、ディープなシンセ・ポップとサックスなどの生楽器との絡み合いが感動的。文句なしの〈SOTW〉!」

 

black midi “John L”

天野「ブラック・ミディの新曲“John L”には度肝を抜かれました。アルバム『Schlagenheim』で見事なデビューを飾った英ロンドンでいまもっともアツいバンド、ブラック・ミディが、5月28日(金)に待ち望まれたセカンド・アルバム『Cavalcade』をリリース。これは、同作のリード・シングルです。どうなることかと思っていたのですが、やっぱり桁違いの才能を持ったバンドだなと、この“John L”を聴いて確信しました。すごすぎ!」

田中「う~ん……。僕は正直、プログレっぽくてダサいなと思ったんですよ。ブラック・ミディについてはもともとピンときていなかったんですが、いよいよ苦手かも……」

天野「えっ!? 〈ダサい〉ってひどいな……。いやいや、最高じゃないですか。だって、まるで70年代前半のキング・クリムゾンが『Larks’ Tongues In Aspic(太陽と戦慄)』から『Red』にかけて展開したヘヴィーでダークな曲をぎゅっとコンパクトにして、それを80年代のキング・クリムゾンが『Discipline』の頃のマナーで演奏して、さらにノーウェイヴの息吹を吸い込んだかのような重さと狂気とタイトさが一緒くたになった、めちゃくちゃヤバい曲じゃないですか!! この素晴らしさがわからないなんて……。サックスやヴァイオリン、ピアノの音の扱い方もイカれていて、ギター・バンドとしての極点と新たな可能性を感じますよ!!! いや~、ブラック・ミディ、超頼もしいですね。こんな新境地に至るとは思っていませんでした。新作『Cavalcade』が楽しみでなりません」

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