くるり『天才の愛』ロックの定石に囚われず意表を突く仕掛けを随所に織り込んだ多彩で奔放な新作

2021.04.28

幕の内弁当的なニュー・アルバムだ。つまり、オカズがたっぷりの弁当のように、多彩なトーンの曲が収められている。プロ野球の応援歌をロック調に仕立てた“野球”、バルカン・ビートに着想を得たであろう“益荒男”、プログレを換骨奪胎したようなインストの“大阪万博”、ファンファンのトランペットをフィーチャーした“less than love”などを収録。グッド・メロディーは健在ながらも、音楽的な仕掛けや企みが随所に織り込まれており、ロックの定石から大幅からはみ出す場面も多々。なお、ドラムはいまの日本でもっとも多忙なジャズ畑の石若駿と、矢野顕子のバンド・メンバーであるクリフ・アーモンドが曲によって叩き分けている。どちらも全身で歌っているような演奏に魅了された。

 

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