幕の内弁当的なニュー・アルバムだ。つまり、オカズがたっぷりの弁当のように、多彩なトーンの曲が収められている。プロ野球の応援歌をロック調に仕立てた“野球”、バルカン・ビートに着想を得たであろう“益荒男”、プログレを換骨奪胎したようなインストの“大阪万博”、ファンファンのトランペットをフィーチャーした“less than love”などを収録。グッド・メロディーは健在ながらも、音楽的な仕掛けや企みが随所に織り込まれており、ロックの定石から大幅からはみ出す場面も多々。なお、ドラムはいまの日本でもっとも多忙なジャズ畑の石若駿と、矢野顕子のバンド・メンバーであるクリフ・アーモンドが曲によって叩き分けている。どちらも全身で歌っているような演奏に魅了された。