サイモン・コーウェルを発起人とするUKのオーディション番組「The X Factor」が2004年の放送開始から丸10年! それを記念して2枚組のコンピ『The X Factor Best』が登場しました。〈シーズン2〉の覇者であるシェイン・ワードに始まり、レオナ・ルイスやワン・ダイレクションら錚々たる卒業生のヒット・チューンがズラリ34曲(そのうち18曲が全英No.1!)。〈ポスト1D〉との呼び声も高いユニオンJ、ゼノマニアのレーベルよりデジタル限定で作品を発表しているアメリア・リリーら日本未上陸のアクトもチェックできるので、これは相当お値打ちです。
さらに、昨年の〈シーズン10〉で活躍した面々も同時期にアルバム・デビューを飾ったのでご紹介しましょう。まずは優勝者のサム・バイリー。現在36歳で2児の母、注目を浴びる以前は刑務官をしていたという彼女は、ホイットニー・ヒューストンやレオナ先輩の系譜に連なる歌い上げ系のシンガーです。その圧倒的な歌唱力を活かし、処女作『The Power Of Love』はドラマティックなバラード攻め! カヴァー曲中心の構成で、番組内でもデュエットしたニコール・シャージンガー参加のジェニファー・ホリデー“And I Am Telling You”、UKチャートの首位に立った“Skyscraper”(原曲はデミ・ロヴァート)あたりがハイライトでしょうか。
さて、そのサムとファイナル・ステージで戦ったニコラス・マクドナルドの初作『In The Arms Of An Angel』は、ブルーノ・マーズ“Just The Way You Are”のカヴァーや軽やかなポップ・レゲエ“Smile”をはじめ、17歳という若さを武器にした瑞々しい一枚に。辛口審査員が口を揃えて〈天使のようだ!〉と絶賛したファルセットをところどころで披露しながら、かねてより囁かれている〈ポスト・マイケル・ブーブレ〉道を迷いなく突き進んでいます。なお、5月末にはUK本国でシェール・ロイド待望の2作目も登場するなど、まだまだ「The X Factor」周辺から目が離せませんよ!