撮影:植村耕司

横尾忠則現代美術館のライブ配信第2弾は、才媛・川井郁子とのコラボ!!

 展示空間で音楽演奏や踊りを披露する魅惑のコラボレーション。この表現方法は過去にも様々な形で試みられてきたが、現在のコロナ禍だからこそ、動画配信という形でさらなる発展が期待されるジャンルと言えるだろう。

 昨年12月に兵庫県神戸市の横尾忠則現代美術館で企画された〈横尾忠則 × 草刈民代 ―アートとダンスの競演― in between〉もその成功例のひとつ。草刈の夫で、日本を代表する映画監督の周防正行監修の下、元バレリーナの草刈がアート界のレジェンド・横尾忠則の芸術作品にインスピレーションを得て、約11年ぶりに本格的な踊りに挑戦。さらに森優希(振付)、フィリップ・グラス(音楽)、串野真也(衣裳)といった世界的芸術家も集結し、芸術の躍動性と無限大の力をまざまざと示してくれた。

 そしてこの度、同美術館の第2弾となる注目の新企画が始動。長きに渡りクロスオーバーな活躍がめざましいヴァイオリニストの川井郁子を迎えた動画〈横尾忠則 × 川井郁子 ―アートとヴァイオリンの競演― unframed〉だ!

 川井がインスピレーションを得たのは、同美術館で現在開催中の企画展〈Curators in Panic ~ 横尾忠則展 学芸員危機一髪〉(~8月22日)の展示作品。その上で今回のテーマ〈unframed=越境〉をコンセプトに、既存の枠組にとらわれない選曲と演奏を目指したという。そうして選ばれたのが、彼女の自作曲“アルバ”と、ガトー・バルビエリ“ラストタンゴ・イン・パリ”の川井編曲版。いずれも横尾の作風にふさわしい艶やかかつしなやかなナンバーで、株式会社テーク・ワンが手がけた映像も、川井が途中で衣裳を黒から赤のドレスに着替えたり、コラボする横尾作品に合わせてアングルが切り替わったりする映像美が駆使されている。川井のヴァイオリン演奏、横尾の刺激的で独創的な作品、そして同美術館の美しく開放的な空間、いずれも初めてここで知った方には最良の入門動画にもなることだろう。

 それにしても、横尾の創作意欲は本当に素晴らしい。いわゆる〈画家宣言〉から40年余。めまぐるしいスタイルの変遷を重ねながら、あらゆる森羅万象をモティーフに、おびただしい作品を世に送り出してきた。また、84歳となった今も若手とのコラボに積極的で、昨年は蓮沼執太のCDジャケットに作品を提供するといったフットワークの軽さとヴァイタリティの高さが、今回の企画にもみごとに反映されている。

 この動画は5月21日から同美術館の公式ホームページで公開されており、YouTubeで視聴することができる。なお、川井は6月26日に同じ兵庫県内で開催される〈THE PREMIUM GALA 村治佳織・川井郁子・幸田浩子 with 京都フィルハーモニー室内合奏団公演〉(兵庫県立芸術文化センター)にも出演予定。同県は依然、緊急事態宣言下にあるが、彼女の生演奏に触れられる当公演の実現をぜひとも待望したい!!

http://www.classics-festival.com/rc/unframed/

 


LIVE INFORMATION
Renaissance Classics THE PREMIUM GALA
村治佳織・川井郁子・幸田浩子 with 京都フィルハーモニー室内合奏団

2021年6月26日(土)兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール
開演:15:00(17:00終演予定)
音楽監督・編曲:山下康介
出演:村治佳織(ギター)/川井郁子(ヴァイオリン)/幸田浩子(ソプラノ)/栁澤寿男(指揮)/京都フィルハーモニー室内合奏団

■第1部
【川井郁子】
アンヘル・ビジョルド:エル・チョクロ
エルガー:愛の挨拶
ロシア民謡:黒い瞳
モンティ:チャルダッシュ

【村治佳織】
ルビーラ(村治佳織編):愛のロマンス
久石譲(小関佳宏編):人生のメリーゴーランド
ピアソラ:ブエノスアイレスの冬
ディアンス:タンゴ・アン・スカイ

【幸田浩子】
バッハ/グノー:アヴェ・マリア
プッチーニ:オペラ《つばめ》より「ドレッタの夢」
ヴェルディ:オペラ《椿姫》より「ああ、そは彼の人か~花から花へ」

■第2部
You raise me up(川井郁子/幸田浩子&京都フィル)
インディゴ・ワルツ(川井郁子/村治佳織&京都フィル)
作詞 小椋佳/作曲 村治佳織:応援歌「いのちの停車場」(村治佳織/幸田浩子&京都フィル)※(映画「いのちの停車場」テーマ曲)
ネッラ・ファンタジア(川井郁子/村治佳織/幸田浩子&京都フィル)
アメイジング・グレイス(川井郁子/村治佳織/幸田浩子&京都フィル)

http://www.classics-festival.com/rc/the-premium-gala/