〈元ちとせ Billboard Live “夏の宴 2021”〉が2021年7月6日(火)にビルボードライブ大阪で、7月9日(金)にビルボードライブ東京で開催される。

79年生まれ、奄美大島生まれのシンガー・元ちとせは、オフィシャルサイトのプロフィールによれば、次のような生い立ちだ。

通っていた小学校は全校生徒4人で、全員親戚。
1人で入学式、1人で卒業式。水泳の授業は近くの川。
そんな環境で育ち、母親の薦めで三味線を習い始める。
小学生の時に自ら島唄を習い始める。
高校3年で「奄美民謡大賞」の「民謡大賞」を史上最年少で受賞。

2002年のbounceのインタビューを読むと、「おじぃやおばぁが島唄を歌うのを見ていて、純粋にかっこいいと思って」島唄を歌いはじめたそうだ。三線を自然と手にして歌いだした彼女の歌唱力は、幼い頃から認められていた。

98年に上京、2001年にインディ―・レーベルからのミニ・アルバム『Hajime Chitose』でデビュー。同作では、シュガーキューブズ、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ジミ・ヘンドリックス、キャロル・キングという洋楽アーティストと、山崎まさよし、あがた森魚という国内のアーティストの楽曲をカヴァーしている。元ちとせのルーツを感じると共に、島唄の節回しとロックやポップスがぶつかり合う、いま聴いても刺激的な作品だ。

2001年作『Hajime Chitose』収録曲“Birthday”。シュガーキューブズのカヴァー

次作は、オリジナル曲で構成された『コトノハ』(2001年)。間宮工、上田現(レピッシュ)、ハシケンが携わった同作は、その後の元ちとせの音楽性を予見させる。

2002年のライブ映像。演奏しているのは2001年作『コトノハ』収録曲“コトノハ”

2002年にはエピックレコードジャパンからメジャー・デビュー・シングル“ワダツミの木”をリリースした。同曲はじわじわとロング・ヒットになり、リリースの2か月後にオリコンのシングル・チャートで1位に。社会現象と化し、言わずと知れた元ちとせの代表曲になった。

2002年作『ハイヌミカゼ』収録曲“ワダツミの木”

同曲を収録した『ハイヌミカゼ』(2002年)は、2週間連続でオリコン1位になるなど、ロング・ヒットを記録した。元ちとせの伸びやかで流麗な歌声とレゲエやロック、ワールド・ミュージックのエッセンスを取り入れたオーガニックで折衷的なサウンド/アレンジが見事に溶け合った、日本のポップ史に残る名作だ。

以降の活躍は知られているとおり。2005年8月6日に広島の原爆ドーム前で反戦歌“死んだ女の子”を坂本龍一とパフォーマンスしたことなど、人々の記憶に残る歌を歌いつづけている元ちとせは、この国を代表する歌手だと言っていい。

近作は、終戦70周年を迎えた2015年に発表した、平和への思いを込めたカヴァー・​アルバム『平和元年』。そして、2018年にリリースした『元歌 ~元ちとせ 奄美シマ唄集』。タイトルのとおり、原点である〈奄美シマ唄〉を歌ったミニ・アルバムだ。

2015年作『平和元年』収録曲“腰まで泥まみれ”。ピート・シーガー“Waist Deep In The Big Muddy”を中川五郎が訳したもののカヴァー

2018年作『元歌 ~元ちとせ 奄美シマ唄集』ティザー

2019年6月からは、毎月『元唄』の楽曲のリミックスを配信リリースした。坂本龍一、坂本慎太郎、故ラス・G(Ras G)、ティム・ヘッカー(Tim Hecker)、Chihei Hatakeyamaドリアン・コンセプト(Dorian Concept)と、国内外の先鋭的な作家たちが元ちとせの音楽を自由に、実験的に解釈している。一連の楽曲は、『元唄 幽玄 ~元ちとせ 奄美シマ唄REMIX~』というリミックス集としてアナログ化もされた

2019年作『元唄 幽玄 ~元ちとせ 奄美シマ唄REMIX~』収録曲“渡しゃ REMIXED BY 坂本龍一”

そんな元ちとせは、『Hajime Chitose』『コトノハ』のリリースから20年を迎えた。つまり、インディー・デビューから20年。キャリアの厚みを感じるとともに、その後の成功から一貫して国民的なシンガーとして歌いつづけていること、そしてその歌が抱擁感や深みと重みを増しながらも、20年前と変わらぬ艶やかさや伸びやかさを持っていることに驚かされる。

今回の〈元ちとせ Billboard Live “夏の宴 2021”〉は、元ちとせが初めてビルボードライブで夏に開催する公演だ。新旧の名曲を織り交ぜたセットリストになるようで、インディー時代の楽曲や“ワダツミの木”から近年の楽曲まで、歌手・元ちとせの懐の深さ、幅広さを実感できるライブになることだろう。島唄や、彼女らしいカヴァーも聴けるのではないかと予想する。

2020年のライブ映像。演奏しているのは2018年作『元歌 ~元ちとせ 奄美シマ唄集』収録曲“朝花節”

2010年の秦基博とのライブ映像。演奏しているのはイルカ“なごり雪”のカヴァー

〈夏の宴〉とは、『ハイヌミカゼ』に収録されている曲に由来しているのだろう。奄美の風を感じる元ちとせの歌は、やはり夏にこそ生で聴きたいものである。この公演、観逃す手はなさそうだ。

2002年作『ハイヌミカゼ』収録曲“夏の宴”

 


LIVE INFORMATION
元ちとせ Billboard Live “夏の宴 2021”

2021年7月6日(火)ビルボードライブ大阪
1stステージ:開場 14:30/開演 15:30
2ndステージ:開場 17:30/開演 18:30
サービスエリア:8,200円
カジュアルエリア:7,700円(1ドリンク付)
※ご飲食代は別途ご精算となります
★詳細はこちら

2021年7月9日(金)ビルボードライブ東京
1stステージ:開場 14:00/開演 15:00
2ndステージ:開場 17:00/開演 18:00
サービスエリア:8,200円
カジュアルエリア:7,700円(1ドリンク付)
※ご飲食代は別途ご精算となります
★詳細はこちら

■メンバー
元ちとせ(ヴォーカル)
新井健(ギター)
宗本康兵(ピアノ)
松本智也(パーカッション)

※本公演は新型コロナウイルス感染症対策用の座席レイアウトを使用し、公演を実施いたします
※ご来場前に必ず〈営業再開時の新型コロナウイルス感染症対策について〉内の〈お客様へご協力のお願い〉をご確認ください