Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯崇嗣が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、5人が1曲を厳選し計5曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

 


【小峯崇嗣】

a子 “somewhere”

シンガー・ソングライター、a子がニュー・シングル“somewhere”をリリースしました。彼女特有の浮遊感のあるインディー・ロック・サウンドに仕上がっている1曲です。1つ1つの繊細な音が組み合わさって、華やかで幻想的な世界が創り上げられており、その細部までこだわり抜かれたサウンドに耳を傾けていると、万華鏡を覗き込んだような感覚をおぼえます。今作のMVを制作した、a子が率いるクリエイティヴ・チーム〈londog〉のメンバーにインタビューした記事が公開されていますので、気になった方は併せて読んでみてください。

 

【田中亮太】

キヲク座 “夏は来ぬ”

空気公団の新作『僕と君の希求』にも貢献していた五味俊也を擁するキヲク座の新曲。ギターは吉田ヨウヘイと岡田拓郎、ピアノは佐藤望、ベースは厚海義朗、さらにコーラスは深海合唱団と剛腕のゲスト陣を迎え、童謡“夏は来ぬ”をポスト・ロック的なアレンジでたおやかに演奏しています。世間の騒がしさに我関せずと、来るべき季節の美しさのみを表現せんとする音楽家の佇まいには、それゆえの矜持が垣間見えるわけで。2021年の夏には、こんなストイックなサマー・チューンこそがきっと似合うでしょうう。

 

【酒井優考】

Tsubusre BOZZ “MAGIC MIRROR”

以前もご紹介した、Plus-Tech Squeeze Boxの血脈を受け継ぐ(と思って勝手に期待しまくっている)ハイテンション・カートゥーン・ソングライターつぶされぼっずさんが配信ほかでリリースした5曲入りEP『DISTRECT5 EP』(待ってました!)。その冒頭曲。このジャンル、本当元気が出ます。めくるめく場面場面を駆け巡る、まんまハイテンションでカートゥーンな曲ですが、これ作るための労力はめちゃくちゃかかってるんだろうなと思います。感謝。任天堂信者としては4曲目“Blue Fairy - VIP Edit”からマ●オみたいな声がするのもめちゃくちゃ気になるんだけど……。そしてPlus-Tech Squeeze Boxハヤシベトモノリさんからは〈アンサー作りたくなる!〉との声も……。是非!

 

【天野龍太郎】

YOASOBI “三原色”

“夜に駆ける”(2019年)を初めて聴いたときは、〈これが若者の間で流行っている曲なんだ〉くらいの感じだったのですが、いろいろな場所で耳にするうちにメロディーが耳に染み付いてしまいました。そこで〈これが新時代の歌謡曲なんだ〉とようやく気づいて、楽曲の魅力を理解していったなかで、先日リリースされた英語版“Into The Night”を聴いて〈そういうことか!〉と目から鱗が。その“Into The Night”と同日にリリースされたのが、NTTドコモ〈ahamo〉のCMソングであるこの“三原色”。ここ10年くらいのJ-Pop、ボカロ・カルチャー、J-Rock、そしてヒップホップがスタンダードになった時代のポップが凝縮されているかのようなすごい曲です。ハンド・クラップやコーラスに勇壮さには、王者の風格すら漂っています。配信リンクはこちら

 

【鈴木英之介】

アツキタケトモ “おとなげ”

2021年7月21日(水)にデジタル・リリースされる2作目のアルバム『幸せですか』からの先行曲。ヒップホップ的なゆったりしたビートとエレピの効いたメロウな曲調の取り合わせがどことなく七尾旅人“サーカスナイト”を思わせるが、そこに乗るのは不器用でロマンティックな愛の囁き……ではなく否応なしに迫ってくる〈大人になること〉への戸惑いや焦燥を率直に綴った言葉。モラトリアム願望を抱えたまま歳ばかり重ねてきてしまった自分のような人間には、その一つ一つが身につまされる。2ヴァース目の数小節だけ、ドリルンベースのような音が混入してきて〈歌モノIDM〉化するアレンジも、捻りが効いていて面白い。