日本楽壇の重鎮、外山雄三の生誕90年を記念したライブ録音の自作自演集。オーケストラの鳴りを楽しめる作品が並ぶ。目玉は近年スコアが見つかり、蘇演されたバレエ音楽“お夏、清十郎”(75年)からの“パ・ド・ドゥ”。仄かにエロスの漂う音楽はゾクッとする美しさ。2018年完成の“交響曲”は約18分の短い作品だが緊密な構成で弦楽器、管楽器、打楽器それぞれに〈見せ場〉がある。また“沖縄民謡によるラプソディ”(64年)は民謡の要素が連なるなか、ラストで“君が代”の断片が高らかに鳴るのが興味深い。締め括りは代表作“管弦楽のためのラプソディ”。ズシズシとエネルギーが聴き手に迫る