EGO-WRAPPIN'のヴォーカリストによる3枚目のソロ作。ロック色が濃厚なEGO-WRAPPIN'とは異なる、センチメンタルで叙情的な作風は過去2作と同様だ。みずからの声を幾重にも重ねたコーラスワークも引き続き冴えている。ただ、今回は中納のリスナーとしての趣味嗜好がストレートに表出している印象。ハーモニーや音響の面ではダーティー・プロジェクターズやボン・イヴェールからの影響が見て取れるし、エフェクトをかけたヴォーカルにはジェイムズ・ブレイクを連想した。つまりは、カッティング・エッジな洋楽のエッセンスを吸収したアルバムなのだが、ソロの曲はポップソングをめざしていると当人が言うだけあり、どの曲もメロディーが立っており、普遍的な響きを帯びている。