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覚悟を示せるニュー・シングル

PARADISES 『大事な歌』 ワーナー(2021)

――わかりました。で、ニュー・シングル“大事な歌”ですが、今回の変化によって響き方も変わったのではないかと思います。

ナルハ「パッと聴いた時はポップで明るくて、元気が出るような曲調なんですけど、やっぱり歌詞には凄い心にくる言葉がたくさんあって。まさに〈一瞬で消え去るってことを知った〉って言葉がものすごく心に刺さりますし、いまの状況に当てはまりますね。歌詞の通り、いつまでも引きずっててもダメになっちゃうので、ちゃんと前向いていかなきゃって気持ちを高められる曲になりました。もともと背中を押してくれるような曲だって思ってたけど、それがより強まった感じですね」

ノン「本当に一瞬で消え去るものだと実感しました。次からの練習にはもうウタちゃんはいなくて、6人から5人になるんだ……って。でもこの気持ちに流されていたら本当にダメになってしまうので、歌詞の通り、流れをぶった切ってグイグイ行かなきゃという気持ちです」

メイ「最初と間奏に入る語りのパートは、本当に突然の出来事が多いPARADISESだからこそ、すごく意味の強い台詞になると思います。他の歌詞も〈ああ、そうだよな〉って強く身に染みるものばかりで、改めて〈よっしゃ、がんばるぞ〉ってめちゃくちゃ思いました。今だからこそ伝えられるPARADISESの思いをしっかりこの曲に乗せていきたいです」

ユユ「月がいなかった半年間は自分的にパンクすることが多くなっちゃってたんですけど、そこで何か変に深く考え込むより自分がまず行動しないと何も変えられないなっていうことを身に染みて感じていて、そのタイミングで渡辺(淳之介)さんからこの歌詞をいただいて、自分が〈やらなきゃいけないな〉って感じたことが全部詰まってるなって思いました。そんなふうに最初は自分にとっての意味が大きい曲だったんですけど、いまは脱退という事実も未来のための原動力へと変換して前に進み続けるしかないという、私たちの覚悟を示せる歌になったなと思います」

月ノ「そうですね……まさかこんな形でこの曲に対する思いが変わるとは思ってなかったです……(笑)。ただ、この曲への思いが〈変わった〉というよりは〈強くなった〉のほうが大きいかなと。最初にいただいた時はいまのPARADISESに渡辺さんが凄いメッセージを込めてくださったんだなと思って、〈今のままだったらダメになっちゃうよ〉って言葉がまずストレートに刺さってきたんですけど、その後の〈流れぶった切っちゃってグイグイ行かなきゃ 今だからこそ 今しかないんだ〉っていう言葉が、この曲のいちばん伝えたいことなんだなって思っています。一語一句、一音一音、すべてがいまの私たちを表している、本当にタイトル通り大事な歌です」

――振付けも印象的ですね。

月ノ「振りは私が付けさせていただきました。サウンドは爽やかな感じだし、松隈(ケンタ:サウンド・プロデューサー)さんの仮歌詞も夏っぽい雰囲気だったので、仮歌の時点で何となく振りが浮かんではいたんですけど、渡辺さんの歌詞をいただいた時に、それがもう全部バッて変わるぐらい違う振りが浮かんできて、すぐに〈私が振付けしてもいい?〉ってみんなにお願いして作りました。先日のリリイベで初披露したんですけど、お客さんが温かくて、自分の振付けで伝えることが久しぶりの感覚で嬉しかったです」

――現状に重なる部分もありますが、皆さんの進む方向を示しているポジティヴな曲だとも思います。一方で、儚い雰囲気のカップリング“Season Song”もいい曲ですね。

ノン「これは月ノちゃんの作詞で、歌詞を見た時に、〈真っ白な譜面〉〈紅い星〉ってウタちゃんと私のことを書いてくれてるんだって気付いて、それがまず嬉しかったし、“大事な歌”とはまた違う角度から寄り添ってくれるような曲です」

ユユ「最初に歌詞を見た時に〈月からの手紙みたいな曲やな〉って思って、月がここに込めた思いもいっぱいあると思うんですけど、私はお客さんの顔が思い浮かびました。やっぱりコロナの期間でライヴにどうしても来れないっていう人は多いし、最近もリリイベで2~3年ぶりに来てくれた人もいたんですけど、そういう〈いま何してるんだろうな〉〈あの人にまた会えたらいいな〉みたいな気持ちも込められると思って。だから、これまでの活動で出会った人や、もう会えなくなっちゃった人たちに対しても歌っていきたい曲だなって思います。どんな人にも出会いと別れがあって、その繰り返しの人生だと思うけれど、別れがあったとしても出会って過ごした青春みたいな時間はなかったことにはならないし、その日々を思い出して寂しい気持ちになった時にそっと心に寄り添ってくれて、そしてまた自分の道を行かなくちゃいけないと、優しく前を向かせてくれる曲だと思います」

月ノウサギ

――そうですね。ちなみにこれは、いつ頃あった曲なんですか。

ユユ「5月前半ぐらい?」

月ノ「そう、“大事な歌”よりも少し前ぐらいです。歌詞を書いたのはWAggとのお別れの準備もしつつ、PARADISESに戻る準備もしつつ、GANG PARADEの練習も被って切羽詰まってたタイミングで、出会いと別れが重なりすぎてた時期ですね(笑)。そういう時期だったからこそ素直にいろんな人の顔を思い浮かべて、自分が経験してきたいろんな出会いと別れを思い出しながら書いた曲です。だから、今回の別れも、この曲を歌うにあたって大事なピースになる気がしています。1Aはウタのことを思って書いた歌詞なので、こういう結果になってしまったのは正直寂しいですけど、この歌詞で良かったなと思うし、この曲を聴いてくれた人の思い出に寄り添える曲であれたらいいなって思います」

メイ「私は〈どんな夢見てる? どんな顔してる?〉っていう出だしを歌ってるんですけど、最初は帰ってくる月ノちゃんを思って歌いました。きっとこの曲を歌う気持ちも変わっていくと思うし、どうしても出会いや別れの意味合いが強い曲だけど、私は何度も曲中で繰り返す〈行かなくちゃ、どこへでも〉の気持ちがより強くなりました。どんな出会いがあっても別れがあっても、より遠くより大きな場所へ、行かなくちゃ、行きたいと思います」