対照的なカラーを背負って分裂した2つのグループが、今度はメンバー総入れ替えの交換トレード!? 彼女たちの不確かな未来が向かう先はGO TO PARADISEなのか、それとも……?

 年間200本のライヴ開催を目標にしてアグレッシヴにツアーの日々を駆け抜けてきたGO TO THE BEDS(以下GTTB)。5人体制で夏から秋にかけて2本のツアーを行ってきたPARADISES。そんな2つのグループが10月2日の〈TOKYO IDOL FESTIVAL〉でプロデューサーの渡辺淳之介から告げられたのは、メンバー全員の交換トレード……同じ源流から分岐して旅を続けてきた2つの流れはどう交わっていくのか、この試みから何が生まれるのか。ツーマンでの〈GO TO PARADISE TOUR〉を経て、このたび両グループの3曲ずつを収めたトレード・スプリットEP『G⇔P』が完成。現GTTBのテラシマユウカとキャ・ノン、現PARADISESのヤママチミキとココ・パーティン・ココに話を訊きました。

GO TO THE BEDS, PARADISES 『G⇔P』 ワーナー(2021)

 

可能性を考えた結果

――まずは先日の〈TIF〉でのトレード発表の様子を改めて教えてください。

ココ・パーティン・ココ「渡辺さんが楽屋に入ってきて、〈この後のWACKスペシャルステージで何もないといいね〉みたいに言い残していったんですよ」

ヤママチミキ「で、ライヴが終わって、マネージャーさんから〈GとPは登壇するので衣装のままでお待ちください〉って言われて、〈あっ、何かあるんだな〉って把握して。いままでもそれなりにいろんな発表があったので肝の据わったメンバーが多いし、個人的には続けられるなら、そのありがたさを感じながら何でも受け止めようという気持ちでした。逆に、そういうのに慣れてないチャンベイビーや、キャ・ノンも初めての経験だったと思うので、何かあったらケアをしなきゃいけないなと思っていて、だから〈全員の交換トレードです〉っていう発表を聞いた時は〈ああ、良かった〉っていう気持ちが強かったです。もしかしたら最悪の可能性だってあったと思うけど、そうではなくて、GTTBとPARADISESの可能性をいろいろ考えてくださった結果なんだなって思って、凄く安心したというか。今後のまたがんばるべき道がより明確になったという気持ちでした」

――柏木由紀さんのYouTubeでは、まさにチャンベイビーさんが涙する場面もフィーチャーされていましたね。

ミキ「はい。聞いた時は不安だったみたいで」

――ベビさんと活動歴も近いキャ・ノンさんは、聞いた時どう感じました?

キャ・ノン「WACKはそういう発表が多いじゃないですか。いままでそれを見てきたから、自分が発表される側になるのが早いなって思って(笑)。でも、何がきてもがんばろうと思っていたので、発表を聞いて安心したというか、楽しみだなっていうのがまず第一にきました。ただ、こうやってトレードするってことは、やっぱり何かをしなきゃいけない状況に自分たちがあるんだなって感じたので、トレードを通して自分ができることをもっと考えなくちゃいけないなって凄く思いました」

――それで言うと、トレードを通じて各々は何を求められているんでしょう?

テラシマユウカ(ユユ)「うわ、難しい質問(笑)。PARADISESは初めて同じ体制で2回ツアーがやれたことで、ようやく先のことを考えられるようになった時だったので、もっとスピード感が欲しいと思ったんです。そこで別々の道を歩いてきた2組が総トレードっていう形で結びつくことで、爆発力をもっと生み出せるんじゃないかなって思うし、それぞれについたイメージを一回壊すことで興味を持ってもらえたり、意外な面を見てもらえたりする機会にもなるし。拡がりを作れるチャンスを貰えたと思っています」

ココ「発表の後で渡辺さんに〈お互いがイメージに固執しすぎてるんじゃない?〉って言われたんですけど。確かに視野が狭まっていた部分があったなと思いました。うちらはコンセプトを届けたいわけじゃなくて、お客さんと一緒に楽しいライヴをしてもっと大きくなっていくことが真の目的なので。凝り固まったイメージや固定概念を今回のトレードで壊していって、お互いの力になればいいなと思っていますね」

――違うグループになって、意識が変わった部分はありますか?

ユユ「GTTBとして6人が作り上げてきたものを背負わせてもらう責任は重大ですけど、それをそのままやってもただのコピーになっちゃうし、そこは求められてないと思うんですよ。名前は一緒でも中身は違くていいし、私たちなりのGTTBをゼロから見せていかなきゃいけない。いままで作り上げてきてくれたものとは別軸でまた新しい道を始めるという気持ちです」

ノン「やっぱり元GTTBはみんな歌が上手い人たちが多いので、自分たちがGTTBの曲を歌うと力不足なのも感じて、そこは変えたいところです。ただ、楽曲やグループは違えど、お客さんに楽しんでもらいたいという気持ちは同じなので、PARADISESでやってきたことも、もっとGTTBに落とし込んでいきたいです」

ミキ「ココが言ったように、このトレードの意味がたぶん、自分たちの凝り固まった固定概念を壊して、新しいものを作るっていうところだと思うので。もちろん過去のPARADISESが作ってきたものは大事だけど、私たちがその枠組みにハマってしまったら、まったく意味のないトレードになるし、曲へのリスペクトや曲のイメージは大事にしながらも、そこばっかりに一点集中しないようにやらなきゃいけないなって思っています。最初は曲を聴きながら〈ホントに大丈夫かな?〉っていう瞬間もあったんですけど(笑)、その考え自体が固定概念だと思ったし、この6人だからこそ作れるPARADISESがあるはずなので、いまは別にそこへの不安はそんなにないです」