卓越したギター・プレイとヴォーカルの魅力で知られる、シンガー・ソングライター/ギタリストのReiさん。そんな彼女が〈今これしか聴いてない!〉というイチオシの音楽を月ごとに紹介する連載が、この〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉です。

第3回である今回Reiさんが紹介するのは、ガール・イン・レッド(girl in red)が2021年4月にリリースしたデビュー・アルバム『if i could make it go quiet』。〈Z世代のクィア・アイコン〉などと称され各方面から注目を集めている大型新人アーティストの鮮烈な魅力を、サウンドと歌詞の両面から熱っぽく語ってくれています!

この記事を機に、あなたも『if i could make it go quiet』、そしてガール・イン・レッドの沼にどっぷり浸かってみてはいかがでしょう……? *Mikiki編集部

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Prod. By Sunny Sunny Club

今月はこれしか聴いていない。わたしは音楽も、映画も、食べ物も、一度ハマると狂ったようにそれをリピートする癖があるようだ。みなさんも現実が息苦しい時ほど、すがるような気持ちで音楽を繰り返し聴く経験が少なからずあるのではなかろうか。

シンガー・ソングライター/ギタリストのReiです。当連載〈Rei’s REPEAT REPEAT!〉ではわたしがついつい繰り返し聴いてしまう、個人的バズリ盤を紹介していこうと思います。

girl in red 『if i could make it go quiet』 World In Red/ASTERI ENTERTAINMENT(2021)

今月はガール・イン・レッドのアルバム『if i could make it go quiet』しか聴いていない。

ガール・イン・レッドはノルウェー出身のシンガー・ソングライター、マリー・ウルヴェン・リングハイム(Marie Ulven Ringheim)によるソロ・プロジェクト。2017年より活動を開始して以来、目にも留まらぬスピードで頭角をあらわし、今となってはオルタナティヴ・ミュージックを語る上で欠かすことのできない存在になったといっても過言ではないだろう。

ガール・イン・レッドの2021年作『if i could make it go quiet』収録曲“body and mind”
 

いわゆる〈ベッドルーム・ポップ〉とも称される彼女の音楽にはどこか懐かしさを感じて、まさに2000年代初頭の洋楽を聴いて育ったわたしは舌の付け根がチクチクした。パワー・ポップやポップ・パンクのようなわかりやすい展開やメロディー・センスもあれば、近年のアンビエンスたっぷりのオルタナ・ロックも含まれているように思う。そこに加えられたローファイな打ち込みと、強烈にイマドキ感を漂わせる歌詞。絶妙なバランスで成り立っていて、身体に悪そうだけど病みつきになってしまう味わい。

ガール・イン・レッドの2021年作『if i could make it go quiet』収録曲“hornylovesickmess”
 

ビリー・アイリッシュのデビュー作『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』(2019年)にもすでに感じられた歌詞の〈2020年代感〉に、隙アリのサウンドが愛らしくてたまらない。たとえば“hornylovesickmess”ではNY旅行の中で感じた心情を日記のように綴っている。こちらが恥ずかしくなってしまうくらい赤裸々な恋愛観の吐露、タイムズ・スクエアで自身の看板が出ている風景の描写、注目されることへの戸惑いや葛藤が描かれている。ガール・イン・レッドへ向けられる熱視線を横目に、〈あなた〉のことをぞんざいに扱ってしまった過去への後悔について考える彼女。世界と自分とのズレ、歯車があっていない違和感、そして〈どうでもいい〉と言わんばかりの無気力・無関心感がリリックから窺えて、そんなところがものすごく今のティーンたちのムードを象徴していると感じた。

Prod. By Sunny Sunny Club

〈Rei’s REPEAT REPEAT〉第3回、いかがだっただろうか。ちなみにガール・イン・レッドもわたしと同じテレキャス弾きである。いつか一緒に弾いてみたいな。

わたしReiのベッドルームからお届けする“Lonely Dance Club”のMVもぜひ。それではまた次回。

Reiの2020年作『HONEY』収録曲“Lonely Dance Club (w/ SOIL&"PIMP"SESSIONS)”
 

 


LIVE INFORMATION
Reiny Friday -Rei & Friends- Vol.12

2021年10月15日(金)東京・有楽町 ヒューリックホール東京
2021年10月22日(金)大阪・梅田 CLUB QUATTRO

■チケット
料金:5,500円
Reiny Recods2次先行受付:2021年7月16日12:00〜2021年7月25日(日)23:59
https://eplus.jp/sf/detail/3314670001?P6=980&P1=0402&P10=10

■出演
Rei
ゲスト:藤原さくら

■公演に関する問合せ先
東京公演: HOT STUFF PROMOTION(TEL: 03-5720-9999)
大阪公演:サウンドクリエーター(メール:https://www.sound-c.co.jp/contact/)

 

Slow LIVE'21 in 恵比寿Garden
(開催は9月3日~9月5日の全3日間、以下にはReiの出演日・会場についてのみ記載)

2021年9月4日(土)東京・恵比寿 The Garden Room
開場/開演:13:00/14:00

■チケット
券種一覧:https://www.red-hot.ne.jp/slow/ticket/
プレイガイド最速先行受付:2021年7月20日18:00〜2021年7月27日(火)23:59
一般発売:2021年8月14日(土)10:00

■出演
Rei
チャラン・ポ・ランタン
Kitri ほか

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PROFILE: Rei

卓越したギター・プレイとヴォーカルをもつ、シンガー・ソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシック・ギターをはじめ、5歳でブルーズに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。
2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、ファースト・ミニ・アルバム『BLU』でCDデビュー。
〈FUJI ROCK FESTIVAL〉〈SUMMER SONIC〉〈RISING SUN ROCK FESTIVAL〉〈SXSW Music Festival〉〈JAVA JAZZ Festival〉〈Les Eurockeennes〉〈Heineken Jazzaldia〉などの国内外のフェスに多数出演。2017年秋、日本人ミュージシャンでは初となる〈TED NYC〉でライブ・パフォーマンスを行った。
2021年2月26日、初の海外デビュー盤となる『REI』をアメリカNYに本拠地を置くVerve Forecastよりリリース。