最強のプロデュース・チームがキャリア初のアーティスト・アルバムをリリース!

 ジャム&ルイス名義では92年のサントラ『Mo' Money』でインスト曲を披露していたが、今回の『Jam & Lewis: Volume One』は同名義での初アルバム。所縁のアーティストを招いて旧交を温めたプロデューサー作品の第1弾で、R&Bの重鎮が舎弟の故ビッグ・ジム・ライトやアヴィラ兄弟にも力を借りて往時のムードを正攻法で再現した内容は、まさに横綱相撲だ。アン・ネズビーが重量級の声を聴かせるサウンズ・オブ・ブラックネス、裏方として鎬を削ったベイビーフェイス、ドリームとの再会も兼ねたマライア・キャリーの先行3曲は、ゲスト固有のスタイルをリマインドさせる彼らの真骨頂。ドラマティックに歌い上げるメアリーJ・ブライジやボーイズIIメン、トニ・ブラクストン、ゴスペルを匂わせるヘザー・ヘッドリーのバラードも同様で、中盤までは美メロで聴き手を90年代に連れ戻す。

 後半では、トークボックスやTR-808を用いてチャーリー・ウィルソンを軽やかに弾ませ、アグレッシヴに歌うアッシャーにプリンス感を纏わせて、80年代のシグニチャーにエッジを加えて現代との接点も探る。モーリス・デイとジェロームを迎えてルーツが演奏したタイムの半同窓会的な曲はスレイヴとGファンクの合体風だが、これらの変化球も含めて手堅さが光る一作だ。