全19曲という超ヴォリュームで到着した4作目。コロナ禍に覆われたこの1年の世の中に対する違和感/もどかしさをシニカル&ユーモラスに書き連ねた本作は、これまで以上にエッジーな耳触りながら、不思議とフレンドリーに聴き手に寄り添う……というか、いつの間にか傍にいる、といった佇まい。ヒップホップ・マナーのビートやノイズ、サイケデリックなエフェクトや加工ヴォイスを凝らしたサウンド・コラージュ、レイジーなラップと独り言のようなヴォーカルに時流を浮かべつつ、ときおり顔を覗かせるフォーキーな質感も健在で、ふと友部正人を思い出す瞬間も。辛辣なリアリティーをポップに響かせるセンスは相変わらずの吸引力。オープニングとエンディングに置かれた音楽家としてのステートメントにもグッときた一枚。