先行で配信された“続・青春”のアコギとブルースハープを用いた作風が象徴するように、本作はオルタナ気質のシンガー・ソングライターとしてのMomの魅力が凝縮された快作である。多彩なビートを駆使し、空間的でレンジの広いミックスを施すモダンなトラックメイカーとしての顔ももちろん健在だが、タイトルやアートワークからも伝わるアングラ・フォークのような雰囲気が実に魅力的。経済のシステムにがんじがらめになった姿を描く“¥”以降、アルバム後半には長尺の曲が並び、3曲分のアイデアを詰め込んだような“勝手にしやがれ!”や、ビートルズのエッセンスを盛り込んだ“青い花”は普遍と革新を兼ね備えている。betcover!!らとも時代感をシェアする若き才能の進化はまだまだ止まらない。