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渋谷系 × タイ・ポップスといえばポリキャット

BASSANOVAのグリーンカレーソバから聴こえてくるのは、バンコクの3人組シンセ・ポップ・バンド、ポリキャット(POLYCAT)が2017年にリリースした『土曜日のテレビ』というアルバムだ。

POLYCAT 『土曜日のテレビ』 FABTONE(2017)

元々バンコクでは日本の〈渋谷系〉に近いインディー・シーンがあり、ポリキャットの作品は、そんな渋谷系をリスペクトしているタイのインディーズ・レーベル、Smallroomよりリリースされている。

山下達郎や久保田利伸など日本のポップスからの影響を公言している彼らの日本デビュー盤でもあるこの作品は、1〜4曲目が日本語詞のナンバーとなっている。僕の大好きな80年代のシティ・ポップを感じさせるサウンドで、一聴すると外国人が歌っているとは思えないくらい日本語もしっかりハマっている。

しかし、タイ語で歌われている残りの楽曲(個人的には6曲目の“You Had Me At Hello”がお気に入り)も最高。僕は、タイ語には他の言語にない独特な丸みや、やわらかさを感じるのだが、馴染みのある日本のシティ・ポップ・サウンドにそれが絶妙にマッチしており、ヴォーカル〈ナ〉の甘くて揺れるような歌声も相まって、とても新鮮に聴こえる。まさに〈和泰折衷〉なバンドだなと思うのだ。

POLYCATの2017年作『土曜日のテレビ』収録曲“You Had Me At Hello”
 

グリーンカレーソバの余韻に浸りながら、バンコクでの3泊4日を思い出してみる。ちょこちょこぼったくりに遭ったりもしたけど、屋台の姉ちゃんも、トゥクトゥクのおじさんも、ホテルのフロントのおばさんも、皆んなニコニコしていて優しかった。

あの旅の最中に感じたタイ人への妙な親近感みたいなものは、きっと気のせいではなかったんじゃないか……と、そう思うのだ。コロナ禍が収束したら、もう一度確かめに行きたい。

ふと、社用携帯が鳴った。相手はお客さん。そうだ、今は仕事の休憩中だったのだ。
マスクのなかにグリーンカレーのスパイシーな香りを閉じ込めて、僕は次の商談先へと向かった。

 

新代田 BASSANOVA
東京都世田谷区羽根木1-4-18 新代田たちばな荘 1F
03-3327-4649

 


RELEASE INFORMATION
YONA YONA WEEKENDERS ファースト・アルバム『YONA YONA WEEKENDERS』

YONA YONA WEEKENDERS 『YONA YONA WEEKENDERS』 スピードスター(2021)

リリース日:2021年11月3日(水)
品番:VICL-65586
価格:3,300円(税込)

 

LIVE INFORMATION

YONA YONA WEEKENDERS presents「BUREIKO TOKYO Vol.01」
2021年10月16日(土)東京・代官山 UNIT
開場/開演:17:00/17:45
​共演:後日発表
前売り/当日:3,000円/3,500円(いずれもドリンク代別)
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