『REMIXES』で味わう、4人が積み上げてきた誇り

 〈音楽で世界を笑わせたい! 泣かせたい! 踊らせたい!〉をコンセプトに、聴き手をキュンキュンさせるメロウネスと、ポップセンス溢れるファンクネスを宿した楽曲で存在感を高めてきた4人組、サンダルテレフォン。デビュー3年目となった今年は、ニュー・ジャック・スウィング風の表題曲を含むファーストEP『SYSTEMATIC』を1月に、レパートリー最速のビートに哀愁メロを乗せた“碧い鏡”とファンキーなR&Bチューン“It’s Show Time!”をカップリングしたセカンドEPを6月にリリース。直後に開催された初の東名阪ツアー共々、評判は上々だったようだ。

夏芽ナツ「これまでライヴのメインは東京でしたので、大阪、名古屋ではどれぐらいの方が観に来てくれるのか気にはなっていたんですけど、開けてみたら……! 大阪公演では九州から来てくださった方もいて、すごく自信にもなったし、これからもっとがんばろうっていう気持ちにもなりました」

小町まい「初日の東京公演は私の生誕祭も兼ねていたので、しっかりやらなきゃ!っていうプレッシャーから、かなり緊張気味のステージだったんですけど、すごく満足のいくパフォーマンスができたと思います」

藤井エリカ「このツアーですごく成長できたところはありますね。そのあとの夏のイヴェントも楽しくできました」

西脇朱音「フェスの時にTwitterでエゴサすると〈これからサンダルテレフォン行く!〉みたいなツイートを見かけたりして、アイドルファンの間で、いま気になるグループになってるんだなあって実感しました」

 と、勢いに乗るなかで届けられたのが、リミックス・アルバム『REMIXES』。EPで発表済みだった4トラックも含め、昨年夏のファースト・ミニ・アルバム『Step by Step』に収められていた8曲すべてを、グループのメイン・ソングライターであるちばけんいちがリミックス(“真夏の匂い”のみ兄の千葉“naotyu-”直樹がリミックス)したもの。メロウ&ファンクのもとにさまざまなアプローチを聴かせた『Step by Step』が、トータル・バランスを整えたニュー・アルバムとして編まれたもの、という印象も与えてくれる。

サンダルテレフォン 『REMIXES』 hoen music(2021)

ナツ「リミックスの音源でまるごと1枚のアルバムを作るというのは初めてなので、聴き比べていただくのも楽しいですし、いまはリリースに向けてリミックス音源でライヴをやることが多いので、私たちも気分が変わりますね」

朱音「ライヴで盛り上がるトラックでもあるけど、普段聴くのにリミックスのほうが楽しいっていうファンの方の声を聞いたりもするんです」

エリカ「『Step by Step』に親しんでいただいたファンの方にはまた違った楽しみ方ができますし、最近サンダルテレフォンを知ったよっていう方には、最初の一枚として最適なんじゃないかなって思います。個人的には“Magic All Night”のリミックスがいちばん好きです!」

まい「音からは少し離れますが、ジャケット写真が個人的にすごく好きなんです。najucoさんにイラストを描いていただいたA盤も素敵ですが、メンバーが写ってるB盤はみんなの表情もすごくいいし、考えられて作られているなあって感じがします(笑)」

 ある意味、サンダルテレフォンの何度目かのシーズンの〈まとめ〉になるであろう『REMIXES』。先立って、西脇朱音が気象予報士になる夢を叶えるために年内で卒業することも発表されたばかりだが、そんななかで、サンダルテレフォンはいま、どういう思い、野望を持っているのだろうか。

朱音「サンダルテレフォンでよかったなって思いますし、3人とも個性が強くて、それぞれの武器をしっかり持っているので、それを活かしつつ、グループとしてもっと大きくなっていってくれるだろうなって期待しています!」

エリカ「2019年から活動してきて、ここまで積み上げてきたものなので、それを崩さず、3人になってもさらにレベルアップ、4人でやってきたことを大切にして、また上に進めたらなって思ってますね」

まい「3人になってもレベルアップしたいなって思いますし、良い意味で変わったなって思われたい。最近、ありがたいことにYouTubeでカヴァー曲をソロで歌わせていただいてるんですけど、カヴァーしたい曲をちばさんにアレンジしていただいて〈私が歌う用〉にしてもらってるので、やりたいと思ったことが楽しくやれてるなって、歌に関しては思ってるんです。そうやって、メンバーはひとりひとり〈ここが強い〉っていうものを持っているし、3人が集まると最強じゃん!って、調子に乗りたいですね(笑)」

ナツ「いままでいくつかアイドル活動をしてきたなかで、サンダルテレフォンの活動は〈なくしたい過去〉にはしたくないって、最初からそう思ってたんです。なので朱音のことも〈こんなに素敵なメンバーがいたんだ〉って誇りに思うし、これからファンになる人にも朱音がいたことを知っていてほしいと思います。自慢の楽曲と自慢のメンバーなので、私たちは過去を大切にしながらレベルアップして、これからも〈確実に成長したね〉って思ってもらえるようになりたいですね!」

サンダルテレフォンのライヴDVD「2ND ANNIVERSARY LIVE "在る" at WWW」(hoen music)

 

サンダルテレフォンの作品。
左から、2020年作『Step by Step』、2021年のEP『SYSTEMATIC』『碧い鏡/It’s Show Time!』(すべてhoen music)