音楽性の広がりを2つの色で追求したセカンドEP!
19年の春から活動を始めた4人組、サンダルテレフォン。〈音楽で世界を笑わせたい! 泣かせたい! 踊らせたい!〉をコンセプトとする彼女たちも3度目の春を迎えたところだが、ステージ活動においてはやはり精力的に……というわけにはいかない。しかし、ポップセンス溢れるサウンドのなかに光るファンクネスと、ハートをキュンと締めつけるメロウネスを宿した楽曲は、アイドル・シーンだけでなく現行のJ-Popのなかにあっても異彩を放つものであり、そのフックの強い楽曲で4人は徐々にその存在感を高めてきた。今年1月にリリースしたEPの表題曲“SYSTEMATIC”でも、ニュー・ジャック・スウィング風のメロウなサウンドを聴かせて〈楽曲派〉の耳を惹きつけたが、こういった作風に本人たちはどういう感想を持っているのだろうか。
夏芽ナツ「音楽についてはそんなに詳しくないんですけど、こういうタイプのジャンルは好きで、アイドルだとハロプロさんとかモー娘。さんとか。自分がやりたかったタイプの楽曲ではあったので、自分的にはかなりしっくり来ていて、やってて楽しいなって思います。“SYSTEMATIC”をいただいたときは、メンバーみんなが〈めっちゃいい!〉ってなりました」
西脇朱音「他のアイドルにないような曲調だなとは思っていて、アイドルヲタクって感じの人じゃない層にも刺さるのかなあと思っていて、すごく好きですね」
藤井エリカ「お客さんだけじゃなく、関係者の方とかも曲を褒めてくださって、そういうところですごくイイ曲をいただけてるんだなあと実感しますね」
小町まい「以前活動していたグループでやっていたのはパンクやメロコアだったので、そこからガラッと変わって最初はすごく戸惑ったんですけど、聴いてるうちにこの路線でも上手に歌えるようになったらいいなって思うようになりました。歌うことは好きなので、もっとキレイに歌えるように。心がけは……どならないようにすること(笑)」
というところで、待望のセカンドEP『碧い鏡/It's Show Time!』が到着。ダブルAサイドとなる本作だが、“碧い鏡”は80sユーロビートを彷彿とさせる疾走感のあるダンス・ビートと哀愁漂うメロディーが交わるナンバー。
ナツ「サンダルテレフォンのいままでの曲のなかでいちばんテンポが速いのでダンスも見せどころだなって思います。こんなに踊るの初めてだし(笑)。曲調はちょっと懐かしいテイストだけど音の感触は最新というか、それがよく表れてる曲です」
エリカ「“SYSTEMATIC”は〈笑わないで踊る〉みたいなところがあって、“碧い鏡”もそのときのクールな感じを活かして表現してます」
朱音「聴くのもパフォーマンスするのも速い曲が個人的には好きなんです。ファンの皆さんからは、聴けば聴くほどクセになる曲だねって言ってもらえてます」
まい「最初に聴いたときに〈?〉って感じだったんですけど、レコーディングして、パフォーマンスして、聴けば聴くほど素敵な曲だなあと思っていて、いまは、ちば(けんいち)さんが作ってくださった曲のなかでいちばん好きです。とくに、落ちサビ前のギターソロが大好きです」
サンダルテレフォンの楽曲におけるメインライターは、いま名前が挙がったちばけんいちと千葉“naotyu-”直樹の兄弟。ダブルA面の表題曲もその2人が分け合っていて、兄のnaotyu-が手掛けた“It's Show Time!”は、世の中のモヤモヤも一気に吹っ飛ばす勢いのアッパーなファンキー歌謡チューンだ。
エリカ「新しい音源をいただいたときにいつも〈おっ〉って思うんですけど、この曲はヤバイと思いました。来たぞ、と(笑)。1トラック目のSE“Ready to Change”も、いままでのオープニングSEのなかでいちばん好き!」
ナツ「“Ready to Change”は、〈あっ、こういうファンキーな方向性で行くんだ!〉っていうのが明確に見えたような気がしたし、“It's Show Time!”は、サンダルテレフォンをもっとたくさんの人に知ってもらって刺さってもらうためのキーになってくる曲だなと思っています。かっこよくて、タイトル通り〈いまから始まる!〉っていう感じの曲なので、ライヴで1曲目にやったらワーッとなるだろうなって」
朱音「サンダルテレフォンを初めて観に来た人を一瞬で惹きつける曲、“It's Show Time!”もそのひとつになるんじゃないかと思いました。表題曲はどっちもイイ曲なので、たくさんの人に届いてほしいなと思います」
まい「また歌い方の話になるんですけど、デモの時点で仮歌を入れていた歌手の方がすごく上手で、レコーディングしたあと最近になってもう一回聴いてみたんですね。そしたら当たり前なんですけど、自分より全然上手で、いまはその方に近づけるようにがんばっています!」
ナツ「表題曲は〈青〉と〈赤〉っていうイメージなんですけど、“碧い鏡”は内にこもっちゃう女の子の曲で、“It's Show Time!”はアクティヴな女の子。そういう二面性を演じている私たちのキャラも楽しんでもらいたいなって思います」
サンダルテレフォンの作品。
左から、20年のアルバム『Step by Step』、21年のEP『SYSTEMATIC』(共にhoen music)