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Wet Leg “Too Late Now”


天野「2021年、もっとも注目を集めた新星にして、今年を代表するインディーアクトであるウェット・レッグが、新曲“Too Late Now”と“Oh No”をリリースしました。そのうち、“Too Late Now”を紹介したいと思います」

田中「どちらもいい曲ですよね。ウェット・レッグの2人については、10月に“Wet Dream”を紹介したときに触れたので、そちらを参照してください。この2曲は、デビューアルバム『Wet Leg』を来年4月8日(金)にドミノからリリースすることを発表した彼女たちが、アルバムからカットしたシングルです。“Oh No”は歪んだギターのリフが印象的なグランジナンバーですが、こちらの“Too Late Now”は透明感と浮遊感のあるギターの音色と強烈なリバーブやエコーが効いたちょっとサイケデリックな一曲。でも、後半では、やっぱり激しいロックンロールになだれ込んでいきます(笑)。反復される儚げなメロディーを歌うリアン・ティーズデイル(Rhian Teasdale)のボーカルもムーディーでいい感じです」

天野「ティーズデイルによると、テーマは『夢遊病のまま大人になること』で、『日々のプレッシャーや労苦を反映しているのかも』『生きていると最悪な気分になることだってある、ってことを受け入れる曲』とのこと。後半の展開は、その憂鬱を吹き飛ばすためのロック、というふうに感じます。ウェット・レッグって歌詞もおもしろくて、〈ラジオもMTVもBBCも必要ない〉と、“Wet Dream”でもやっていた固有名詞を織り込んでいるところに惹かれました」

田中「ちなみに、ファーストアルバムについては、『女性って、いろんなことを課せられて、どれだけ見た目が綺麗かイケてるかってことが唯一の価値のようになってしまうことがある。でも、私たちは、もっとヘンテコで、ちょっぴり行儀が悪いこともしてみたい』と語っていますね。頼もしいです。いまインディーリスナーたちから注目を浴びている彼女たちからは、来年も目が離せません!」

 

Godford “Do What I Feel”

田中「ゴッドフォードはフランス・パリのプロデューサーです。彼は本名を明かしておらず、なおかつ覆面を着けて活動しており、2020年にリリースしたファーストアルバム『Non Binary Place』で注目を集めました。そんなゴッドフォードは、自身のサウンドを〈レイヴ、ロマンス、オルタナティブ〉と評しています。エレガントなタッチのダンスミュージックは、さすがフレンチタッチと言ったところでしょうか」

天野「僕は、Mikikiでも書いてもらっているライターの村田タケルさんが紹介していて、彼のことを知ったんです。ゴッドフォードの曲って、リズムがいわゆるフレンチタッチのねっとりしたものとはちがっていて、レフトフィルードテクノとかUKガラージ/ダブステップとかの軽やかさなハネ感があるんですよね。そのあたりが新鮮だと感じます」

田中先週末にリリースされたばかりの2作目『I YOU SHE』からのシングルである“Do What I Feel”も、ダブステップ的なビートが印象的です。ステッパーズチューンとも言えそうですね。とはいえ、UKのその手の曲にありがちなヘビーさやダークさはなくて、甘美さが漂っているので、とてもロマンティックです。『I YOU SHE』はThe xxやカリブーのファンも気に入りそうな作風でしたし、ぜひチェックしてみてください」