Luby Sparksが2022年1月26日にリリースしたシングル“One Last Girl”。バンドにとって約2年ぶりの新曲には、発表直後から絶賛の声が集まっている。90年代のオルタナティブポップを彷彿とさせる、メランコリックなメロディーと淡々としたリズムが特徴の同曲。ボーカリストのErika Murphy加入後に彼らが取り組んでいたドリームポップ路線とは少し異なった、Luby Sparks史上もっともキャッチーと言っても過言ではないポップソングだ。これまでよりも幅広いリスナーに届くであろう“One Last Girl”は、バンドの状況を少なからず変える1曲になるかもしれない。
今回はメンバー全員に集まってもらい、この名曲がどのように生まれたかについて尋ねた。なお、今週末の2月19日(土)には、“One Last Girl”のリリースパーティーが東京・渋谷WWW Xで開催される。ぜひ、インタビューを読んで、DYGLとDJのCEMETERYを共演者に揃えた同イベントにも足を運んでほしい。
ワンマン体制から本当のバンドへ
――“One Last Girl”は、Luby Sparksとしてかなり久しぶりのリリースになりました。期間が空いたのにはコロナ禍の影響もあったんでしょうか?
Natsuki Kato(ベース/ボーカル)「それについては難しいところで、コロナがあったことでゆっくり制作できたという面もあったんです。前のシングル”Somewhere”(2019年)をリリースしたあと、本当は大規模な中国ツアーを予定していたんですよ。それがコロナで完全になくなり、バンドの予定自体が少なくなったんです。
そこで制作にシフトしようとなったし、曲をまとめて作って、そのうちの1曲を今回シングルとして出した。だから、2年間のうち1年は曲を制作/録音していたし、もう1年は実際にレコ―ディング後のミックスとかポストプロダクションをやっていたんです。それで2年空いたという感じでしたね。実は今年リリース予定の新しいアルバムもその期間で完成させたんです」
――もうアルバムも出来上がっているんですね! 時間をかけて制作に臨めていたとのことですが、これまでと制作方法に変化はありましたか?
Natsuki「”Somewhere”までは僕しか曲作りに関わっていなかったし、曲の構成からアレンジまでをすべて自分一人で作りこんで、メンバーはただそのとおりにレコーディングするだけ、という形だったんです。ほかのメンバーはまったくやりがいがなかっただろうし、バンドの空気もあまりよくかったんですよね。冷静に考えたら、〈これ、ぜんぜんバンドじゃないじゃん〉となったし、そういうので失敗しているバンドの話もいっぱい聞いていたので、僕は反省して。そこからみんなで曲を作りはじめたんです。
“One Last Girl”では、Tamio(Sakuma)がまずメインのコード進行とかを作って、Erikaがそこに歌詞とメロディーを乗せました。それを僕が最後にまとめるというやり方でしたね。僕が持っていない影響源とかリファレンスをこの2人が持ってきてくれたし、絶対に自分では作れない曲が出来たと感じています」
――バンドのよくない空気はほかのメンバーも感じていたんですか?
Tamio Sakuma(ギター)「うーん……というより自分としては〈こういうコード進行で作りたい〉という曲があったので、それをNatsukiくんに教えて、2人で一緒に曲を作っていったという流れでした。バンドの空気が悪いとかは意識していなかったですね。ただやりたいことがあった、というか」
Natsuki「僕はベーシストなので、ギターをちゃんと弾けないし、曲もなんとなくで作っているんですよ。コードもあまり理解していないんです。でも、Tamioはコードも当然理解しているし、今回も僕からは絶対に出ないようなきれいなコード進行を持ってきてくれた。加えてErikaは、メインストリームな音楽も聴いているし、だからこそ今回も強いメロディーが出てきたんでしょうね。最初に聴いたとき、かなりビックリしました。めっちゃキャッチーじゃんって」