約4年ぶりのニューアルバム『Search + Destroy』で、インディーロックから〈リアルオルタナティブロック〉への大胆な変貌を目指したLuby Sparks。かつてのシューゲイザー、ドリームポップのイメージを払拭し、文字通り夢から醒めたかのようなクリアで力強いサウンドを獲得した今作の背景や動機とはなんだったのか。90年代後半のオルタナティブにインスパイアされたヘヴィネスや、生音と打ち込みのクロスオーバー、Z世代のナチュラルな越境感覚、そしてY2Kリバイバルのその先へ……幾つかのキーワードから浮かび上がるLuby Sparksの現在地について、Natsuki(ベース/ボーカル)に話を訊いた。
アヴリルやマイケミってありなんだ?
――今作でのLuby Sparksの音楽面での大きな変化は意図したものだったんですか?
「そうですね。4AD路線というかドリームポップみたいなのが、アルバム前の最後のシングル“Somewhere”を出した時点で個人的にちょっと完結しちゃったんですよね。
で、ネクストステージを考えたときに、今回はボーカルのErikaとギターのTamioとも共作して作ってみようとなって。そこで、ちょっとヘヴィなものやグランジっぽいもの、打ち込みと生のドラムを組み合わせたものとか、そうした二人の好きなサウンドにかなり影響を受けたんです。
ちなみに2年くらい前に、粉川さん(インタビュアー)が〈アヴリル(・ラヴィーン)やマイケミ(マイ・ケミカル・ロマンス)からの影響を語る海外アーティストが増えた〉ってツイートしていたのを見て、〈わっ、これ、すごいわかる! Erikaのことだ!〉ってなりました(笑)」
ちなみにマイケミと並んで若手アーティストの取材でちょくちょく名前が出る、ぐいぐい再評価が進んでると最近とみに感じるのは何気にアヴリル・ラヴィーン。ポップ系ではないどインディー・バンドに「アヴリル聴いてギター始めた」とか言われたりする。
— 粉川しの (@ShinoKokawa) November 1, 2019
――(笑)。
「Erikaはまさにマイケミやアヴリルに直接影響を受けた世代です。僕とはたった3歳の差ですけど、ポップパンクに対する感じ方が全然違うんですよ。僕の場合はちょっと斜に構えちゃって、ストレートに聴いていなかったんですけど。でもErikaはストレートに好きだと言えてしまう。
で、〈あっ、それ、ありなんだ?〉っていうことに気づかされて、改めて自分も聴いてみたら〈めちゃくちゃいい曲じゃん〉みたいになったんです。僕自身も、もうちょっとポップなもの、ミックスもはっきりした、パキっとしたものを作りたいっていうタイミングだったので」