I FEEL LIKE GOING HOME...
レジェンドの再起をお膳立てしたブルース孝行息子としての顔
自分がロックスターとして得た名声を使い、ブルースに恩返しよう──ジョニー・ウィンターはそう思っていたに違いない。早い時期からマディ・ウォーターズ、ライトニン・ホプキンス、ライトニン・スリムの名を挙げ、「最近ろくなレコードを作ってないから、自分がプロデュースしてみたい」と語っていたものだ。2人のライトニンは無理だったが、マディは実現。彼が長年在籍したチェスの倒産後、ブルー・スカイに招き入れ、77~81年に『Hard Again』『I’m Ready』『Muddy “Mississippi” Waters Live』『King Bee』をプロデュースし、演奏にも参加。最初の3枚はグラミー賞を獲得した。目先を変えてヒットを狙うのではなく、御大の力が発揮できるメンバーを揃え、王道スタイルを演じさせる──そんなジョニーの目論見がハマり、見事マディは晩年に輝きを取り戻したのだった。
また、86年にはロニー・ブルックスの『Wound Up Tight』に2曲でゲスト参加。ジョニーは、ロニーがルイジアナでギター・ジュニアと名乗って活躍していた60年代初頭からのファンで、少年期にレコーディングを見学していたほどだった。80年作『Raisin’ Cane』ではその時代の“The Crawl”を、84年作『Guitar Slinger』では80年代のロニーのナンバー“Don’t Take Advantage Of Me”をカヴァーしている。
さらに、84年にアリゲーターから発表されたサニー・テリーの『Whoopin’』は、もともと81年にジョニーがプロデュースし、自身のレーベル=マッド・アルビノから『I Think I Got The Blues』という表題で出していたもの。ジョニーがブルー・スカイより移籍した際、手土産として権利をアリゲイターに譲ったのだという。これまた、素晴らしい恩返しじゃないか。
▼関連盤を紹介
左から、マディ・ウォーターズの77年作『Hard Again』、同78年作『I’m Ready』、同79年作『Muddy “Mississippi” Waters Live』(すべてBlue Sky/Columbia)、ロニー・ブルックスの86年作『Wound Up Tight』、サニー・テリーの84年作『Whoopin’』(共にAlligator)
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