(左から)六角精児、北爪啓之

タワーレコード新宿店~渋谷店の洋楽ロック/ポップス担当として、長年にわたり数々の企画やバイイングを行ってきた北爪啓之さん。マスメディアやweb媒体などにも登場し、洋楽から邦楽、歌謡曲からオルタナティブ、オールディーズからアニソンまで横断する幅広い知識と独自の目線で語られるアイテムの紹介にファンも多い。退社後も実家稼業のかたわら音楽に接点のある仕事を続け、時折タワーレコードとも関わる真のミュージックラヴァ―でもあります。

つねにリスナー視点を大切にした語り口とユーモラスな発想をもっと多くの人に知ってもらいたい、読んでもらいたい! ということで始まったのが、連載〈パノラマ音楽奇談〉です。第12回は、Mikiki 10周年の特別企画として、北爪さんと関わりが深い六角精児さんのインタビューの前編となります。 *Mikiki編集部

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今回と次回はMikiki 10周年を記念した特別企画として、俳優にしてミュージシャン、そして無類の音楽好きとしても知られる六角精児さんが選ぶ〈ロックアルバムベスト10〉をお送りします。

いま僕はNHKラジオ第一で毎週木曜日に六角さんがパーソナリティを務めている番組「ふんわり」の制作に携わっているのですが、付き合いとしてはもう10年以上になります。そのため仕事以外でもよく呑みに行ったり遊んだりしてまして、今回のテーマについても2人で旅をした際に泊まったゲストハウスの部屋でだらだらと酎ハイを呑みながら交わしたものです。それゆえインタビューや対談というよりはほぼ酒のツマミのような雑談ですが、こんなユルい音楽トークもこの連載らしいのじゃないでしょうか。


 

北爪「今日は〈六角精児のロックアルバムベスト10〉を決めたいと思うんですよ」

六角「(ポテトチップスを食べつつ)OK、一般的なものじゃなくてもいいんだよね?」

北爪「六角さんが好きなものなら何でも構いません。でも1アーティストにつきアルバム1枚でお願いしたいかな」

六角「……じゃあまずビートルズは絶対に入るな。一番聴いた曲は“I Saw Her Standing There”だねぇ。それと“P.S. I Love You”とか」

北爪「ではアルバムだと『Please Please Me』ですか。初期のロックンロールぽい方が好きなんですかね?」

THE BEATLES 『Please Please Me』 Parlophone(1963)

六角「そうだな。でも後になって“I Will”とか“Rocky Raccoon”も好きになったんだよ」

北爪「アコースティック系の曲ですね」

六角「でもあの辺をロックと言っていいのかね? かといって“Revolution”じゃ違うし……そう考えるとやっぱり『Please Please Me』だな」

北爪「さっそく1枚決まりましたね」

六角「あとはボブ・ディランの『Blonde On Blonde』

BOB DYLAN 『Blonde On Blonde』 Columbia(1966)

北爪「六角さんにとってディランは外せないですよね」

六角「外せないね。好きなアルバムは多いけど、でも『追憶のハイウェイ61(Highway 61 Revisited)』か『Blonde On Blonde』か『血の轍(Blood On The Tracks)』か『Planet Waves』か『Self Portrait』のどれかになるんだよ。だけどロックってことならやっぱり『Blonde On Blonde』だろうな」

北爪「早くも2枚決定」