第二次対戦中に実際にナチスの捕虜となったことがあるブレッソン監督が死刑囚の実話を元にして映画化。脱獄不可能といわれた監獄から囚人仲間が脱獄を失敗し、処刑されていくなかで主人公にも死刑宣告が下されたことで脱獄を決意するのだが、独房に戻るとそこには謎の少年が収監さていて彼はある決断を迫られることになる。本作からプロの俳優の起用をやめたり、ナレーションと行動を二重化する技法を用いたり、映画的な装飾や挿話を可能な限り排除することによってブレッソン監督の美学がより強固となっている。本作の原題ではすでに脱獄の結末を示しているのも注目すべき点である。2Kレストア版による初BRD化!