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ユニットにするのはどう?

 そうやって田村ソロで始まったLafuzinは、BRIANのプロデュースで“都会ガール”や“サマー・ブリーズ”などをコンスタントに配信リリース。それと並行してLafuzinが客演したBRIAN名義の“やさしくされたら”や“きかせて”も届けられ、たおやかな歌声と懐かしさを湛えたレトロ・モダンな歌謡性が融合した二人の作風は注目を集めていく。当初は顔出しもなく、田村本人によるアートワークのイラストだけを纏う匿名性の高さも印象的だった。そこからBRIANがメンバーとして正式加入したきっかけは、レーベルメイトのGOOD BYE APRILら同世代の仲間からの刺激もあってライヴへの意識を高めた田村からの提案だったという。

田村「ライヴをやるなら、タキシードとかPIZZICATO FIVEみたいな、ちょっと華やかなステージにしたいと思って。そうなったら1人よりも2人のほうがパフォーマンスの幅も広がるし、ユニットのほうがLafuzinの魅力がもっと出せるんじゃないかなと思って、〈ユニットにするのはどう?〉って持ちかけました」

BRIAN「最初はちょっと躊躇しました。私生活も一緒なんで〈仕事も一緒なのはどうなんだろう〉みたいな気持ちも最初はあったり(笑)。あと、プロデューサー視点で関わる時は、例えばゴリゴリのロックな欲求はPIGGSで出して、ポップスの好きな部分はLafuzinで出して、違うアウトプットがあることで良いバランスを取れてたんですけど、メンバーってなるとフロントマンにもなるような話で、ソロ・ライヴもコロナ以降はまったくやってないから、その意味での〈どうしよう〉もありました(笑)。でもよく考えたらペット・ショップ・ボーイズとかめちゃくちゃ好きだし、CHAGE and ASKAもホント尊敬してますし、三果ちゃんのほうが好きだと思いますけどピチカートも通ってるし、ホール&オーツとかワム!とか挙げていけば好きなユニット多いなって思えてきて。ユーリズミックスとか、サウンドでも影響受けてるスウィング・アウト・シスターみたいな男女デュオも多いし、〈人生で1回はユニットやりたいな〉って思えてきて。あと、お笑い芸人の友達にも、〈芸人に例えたらBRIANはピン芸人が向いてるように見えるけど、実は2人組のコント師向きだよ〉みたいなことを言われたり(笑)、そういうのが重なって〈入っちゃおう〉って決めた感じですね」

田村「けっこう悩んでたんですけど、口説きました(笑)」

BRIAN「前までは音楽面のことしか気にしてなかったけど、メンバーだと全体に責任感も出てくるので、より話し合いをするようになりました。僕名義の歌詞も三果ちゃんにめちゃくちゃ相談して、実質的に二人で書いてるみたいな曲もあったりするし、先行配信した“シルクのカーディガン”のアートワークも、プリファブ・スプラウトとか80年代のソフィスティ・ポップっぽい、スウィング・アウト・シスターとかブルー・ナイルとかの質感がいいんじゃない?みたいに意見してみたりとか。Lafuzinとしての当事者意識が生まれてきましたね」