〈これは人生ってキャンバス使ったアート〉(“This Is My Life”)というリリックの通り、まるでヒップホップにその身を捧ぐ彼の生き様がそのまま刻まれたかのような9作目。盟友のPigeondustをエグゼクティヴ・プロデューサーに迎え、Olive OilやManakurvらも助力したビートのローファイやジャジーに終始しないドープな広がりを、世情への怒りや憂いを鋭く差し込みながら前進する力に転化するリリシズムは本物だ。みずからの闇と病みを内省する“Meets Evil”“Sea of Tranquility”を経て、TSUNEIの力強い歌声を含めて厳しくも美しい肯定に満ちた“Self-Respect”、〈俺は楽しく生きる事にした〉と上向きに語る“Love is the Message”へと至る、その道程こそが彼にとっての〈天啓〉か。