これまでのアルバムと近年の参加作で振り返るHAIIROの歩み

HAIIRO DE ROSSI 『TRUE BLUES』 SLYE(2008)

前年にEccy曲への参加で名を広め、自身やGlasemilla名義のEPを経て届いた初フル・アルバム。ファット・ジョンによる冒頭曲から、FragmentやOlive Oil、Prisma、Haruka Nakamuraらのビートが〈ジャジー〉と括られた往時の空気をリリカルに伝える。

 

Michita×haiiro 『Soul Sessions』 Libyus(2008)

北のビート職人Michitaとガッチリ組んで仕上げられたタッグ作品。互いの作品での手合わせを受けての共演だけに、楽器的な鳴りも意識したようなフロウは、いわゆるネオ・ソウル的な感触もあるループにしっくり馴染んで心地良し。

 

HAIIRO DE ROSSI 『SAME SAME BUT DIFFERENT』 SLYE(2010)

葛藤を綴るリリックに率直さを増しながら、PigeondustやEeMu、broken haze、レーベルメイトのYAKKLEらとのリンクでトラックの振り幅も広げた2作目。Eccyの手による表題曲で掲げた反レイシズムへの意識は、新作中の“風たち”にも繋がるものだ。

 

HAIIRO DE ROSSI 『forte』 forte(2011)

自身のレーベルを立ち上げてのサード・アルバム。洗練よりも包み隠さない内省に意識を向け、言葉も余白もPigeondustや%C、HIMUKIらの美しいビートも含めて密度がとんでもなく濃い。新作中の“藤沢DNA”を聴く前にここで“Shout8.27”を聴こう。

 

『forte』に収録された“S.K.I.L.L.Z.”でも顔見世していたクルーの、HAIIRO在籍時では唯一となるアルバム。4MCそれぞれの存在感に応じた、%CやBigo、HIMUKIらのトラックメイクもラフなクルー感を後押ししてくる。

 

活動休止に入る前に完成され、不在時に発表された4作目。エグゼクティヴ・プロデューサーにATOM(SUIKA)を迎え、ジャズをテーマに全体のムードが織り上げられている。ISH-ONEやKGE the Shadowmenの客演もいい。

 

ビッグLをオマージュしたジャケも意志を窺わせる今年のforte第1弾リリースは、前年の〈UMB〉横浜大会を制したフリースタイル巧者の初作。気持ちの入ったマイク捌きにforteサウンドの要でもあるBigoのプロデューシングがガッチリ応えている。HAIIROも“再生”にて登場。

 

伊集院幸希 『月曜日と金曜日 ~Sugar Hi Junnie~』 HOTWAX(2014)

モッドなリズム&ブルースを現代的に表現するシンガー・ソングライターが全曲でラッパーと共演した意欲作。“マリーの24時間だけの恋”に招かれたHAIIROは、フルートのホロ苦く躍るソウルフルなビートに乗せて温かく語りかける。

 

京都のホープが前作『A New Day Has Come』(2012年)に引き続きforteから出した2作目。HAIIROとの初コラボとなる“Main Act”をはじめ、RoundsvilleマナーなJugg制作曲、ダブステップまで曲調は多岐に渡るものの、さまざまな方向にエモーションを広げる語り口が作中を貫いている。

 

HIMUKI 『Fertile Village 3』 BANG STAYSTONED(2014)

『TRUE BLUES』所収の“Morning Stardust”を手掛けて以来、音盤上でもHAIIROと付き合いの長いHIMUKI。この最新リーダー作でHAIIROに声を託した“HEAVEN”は、HIMUKIが故人に捧げるべく作り上げたという、濃密で息が詰まるような追悼曲だ。