
小田にはなんでも話せます
――ちなみに楓さんがメンバーで心の拠り所にしている人はいるんですか?
「(再び涙を流し)小田です……」
――やはり同期の存在は大きいんですね。
「なんでも話せます。小田かママか、みたいな。クマリデパートに入ってからずっと、遠征するとホテルの部屋が一緒だったりするし、どうしたらいいかなということがあったら小田とファミレスで長時間喋ってます。同期の存在はデカいです。
でも、大体のことが解決できなかったりするんですけどね(笑)。2人で話したところでSNSの使い方がうまくなるわけではないんですけど、お互いで話して気持ちが楽になることはあります」
――小田さんが支え。
「小田もそうだといいですけど。小田って、自分のことを話さなかったんですよ。聞いたら言うんですけどね。最近は趣味のことをニコニコで話してくれるようになったので嬉しいです」
――小田さんはクマリデパートらしさは2期にあると言っていたのが印象的でした。
「へー。さっき言ったフウカのスタンスとかこだわりは、小田も同じようなことを思っていて。歴的に真ん中だから軸になれるようにしたいなって思います。でも、そこまで出しゃばっちゃいけないとも思っていて、難しいですね」
――楓さんの歌は誰が聴いてもすごいので、有無を言わさず出しゃばっていいと思いますけどね。結果的にはそれがグループの殻を破ることに繋がる気もします。
「自分のなかで根拠のない自信があった時期があって。LINE CUBEでやったあたりですかね。フウカは多分、自信があった方がいいお歌を歌えて、いいライブができるんですよね。最近はそれがちょっと危うい(笑)。自信ってすごく重要なんだなと思っています」

「フウカちゃんの気持ちいいように歌っていいんだよ」と言われて取り戻した
――経験を重ねていくと、なにも知らなかった頃の勢いとは違うところで勝負しないといけない時期がきますよね。
「まさに今がそれかもしれないです。前に一度、もっとクマリデパートに合った歌い方をしなきゃと思って。それは早桜ちゃんだと思ったんです」
――早桜さんが正解だと。
「そうです。可愛い声で歌わなきゃと思って、それをやっていたら、自分がどう歌っていたのかわからなくなっちゃったんです。なにが上手いとかもわからなくなりました。
ボイトレに行って〈フウカちゃんの気持ちいいように好きに歌っていいんだよ〉と言われて、ちょっと取り戻した感じです」
――クマリデパートに合った歌い方を模索したのはどうしてだったんですか?
「どうしてだろう? 4人の頃にクマリデパートの歌の軸はフウカと早桜ちゃんだと言ってもらえたことがあって、多分それが自信になっていたと思うんですよね。それでもっと合った歌い方を考えすぎて、その自信が離れていきました(笑)」
――LINE CUBEのときは6人編成だったから、6人になったから変わったということでもなさそうですよね。
「マナちゃんはお歌が上手だったので、6人になってから一度不安になったこともあったんですけど、そこは別物だから大丈夫と思えたんですよね。
だから、誰と比べてとかではなく、〈前はどうやって歌ってたっけ?〉となることが多くて。そこは今も迷っています」

クマリのライブを取り戻した感覚は忘れないようにしなきゃ
――大きな目標がハッキリと定まっているからこそ、不安がさまざまな形で表出している時期なのかもしれないなと感じます。
「大きいステージへの不安はありますね。みんなもそれがあるのかな?」
――現時点では戸惑いの方が大きすぎるのかなという印象です。それは裏を返せば真剣に向き合っているからだとも思うんですよね。
「もちろんやる気はあります。今までは準備されたステージをとにかくこなしていく感じだったんですけど、タワーレコードさんとのミーティングにも参加させてもらったり、大きい舞台のことで一緒に考えさせてもらったりしているので、目標に向かっているんだなという気持ちはすごくあります。
自分でも考えるということにまだ慣れてないのもあるかもしれないですね。私、考えるのは苦手なんですよ。道徳の授業とか、答えがないやつが得意じゃなくて。ミーティングも難しいです」
――与えられたものを全力でこなすほうが向いている。
「そっちの方が好きではあります。意見を聞いてもらえちゃうと、〈フウカが意見を?〉ってなっちゃう。よく考えれば出てくるんですけど、その場でパッと出すのはまだ難しいですね」
――ツアーをやってきてライブがよくなっているというのはみなさん口を揃えて言うことなので、そこはポジティブ要素ですよね。
「初日からだいぶ成長したと思います。初日は新曲2曲を初披露したので、それにすごく引っ張られちゃって。
どっちもこれまでのクマリっぽい曲ではないので、自分のなかではいつものクマリのライブを取り戻すのに時間をかけちゃったなとは思いました。この感覚は忘れないようにしなきゃと思います」
――新曲のハードルは高かったみたいですね。
「新しいことだったから、多分お客さんも戸惑っているんだろうなって感じが見えちゃったんですよね。それでこっちも〈あれ、違った?〉って(笑)。
でも、今は〈これが正解だし!〉っていう気持ちでやれるようになりました」