人気シリーズ「同級生」の最新作。結婚をした二人が、帰るところ〈home〉を作り出すまでの短編集。あとがきにもありますが、作中食べ物が多用されているのが印象的。単純にとても美味しそうで食欲をそそられますが、互いを思い合うコミュニケーションの手段としても効果的に描かれています。特に幼少期の草壁光と父親とのエピソード。この短さでここまで胸を掴ませる手腕に脱帽! 私自身も亡き父のことを追懐しました。主役二人の慈しみ合う理想的なパートナーシップからも、〈恋人〉から〈家族〉になっていく過程が体感でき、自然と暖かな気持ちに。「二人一緒ならなんでも」これに尽きます。