ギャラリー、JULY TREE（ジュライ・トゥリー）が2023年3月25日にオープンした。
JULY TREE（ジュライ・トゥリー）は、東京・神泉のギャラリー。アートの展示のみならず、スタッフが愛してやまない音楽をテーマに、レコードやアパレル、本、雑貨など、さまざまなものの発信に活用できる多目的のフリースペースをイメージしているという。
ギャラリー名は、ポール・トーマス・アンダーソンの映画「リコリス・ピザ」（2021年）の冒頭で使用されていたニーナ・シモンの同名曲に由来している。
同曲は、進歩的な2人の女性がニーナのために書き下ろした曲。〈7月には大きく育った木に真実の愛が花開く〉というリフレインの歌詞は、60年代当時の黒人たちや女性たちを取り巻く状況のメタファーとされおり、古のフォークソングのような美しさを持っている。
不安や絶望、憤りを感じることが多い今日、静かに、厳かに、真実の愛、希望が時間をかけて、7月には実る様子を描く同曲の思いを託したい、という願いから、ギャラリーは命名されているそうだ。ちなみに、このギャラリー名の由来は、音楽ライターの松永良平（リズム&ペンシル）が執筆した「リコリス・ピザ」についてのMikikiの記事にインスパイアされているという。
また、JULY TREE（ジュライ・トゥリー）のロゴのデザインは、坂本慎太郎が手がけている。
そんなJULY TREEの記念すべき第1回目の展示は、世界各国のさまざまなミュージシャンの写真を撮りつづけているフォトグラファー・石田昌隆による〈RELAXIN’ WITH LOVERS ～photographs～〉だ。
〈RELAXIN’ WITH LOVERS ～photographs～〉は、伝説のカルチャー雑誌「relax」57号のラヴァーズ・ロック特集に端を発する人気コンピレーション『RELAXIN’ WITH LOVERS』シリーズで使用された、石田が84年に英ロンドンに滞在した際の作品を中心にした写真展。
同展で展示されている写真は、ジャマイカからの移民をはじめとする黒人の移民が多数居住していたゲットーだったブリクストンの下宿を拠点に、石田が市井の人々やミュージシャンと一緒に生活していた際のもの。サウンドシステムやカーニバルをはじめ、当時のストリートの喧騒や熱気が、石田の手によってモノクロームのプリントにいきいきと活写・記録されているとのこと。
近年リバイバル上映されたレゲエムービー「バビロン」（80年）や、〈ロック・アゲインスト・レイシズム〉に迫ったドキュメンタリー映画「白い暴動」（2019年）で垣間見ることができる、70年代後半から80年代初頭のサウスロンドンの風景が鮮烈によみがえる、36枚のプリントからなる注目すべき写真展になっているという。
〈RELAXIN’ WITH LOVERS ～photographs～〉の会期中は、シルクスクリーンプリントが限定で販売される。プリントは、アンディ・ウォーホールや森山大道らの作品でも知られるシルクスクリーンに石田が初めて挑戦し、音楽作品のジャケットでも使用された2点を、芸術性・希少性の高いアート作品としてサインとシリアルナンバーを記したもの。
『RELAXIN’ WITH LOVERS』シリーズをはじめとするUKレゲエやラヴァーズロック、パンクやニューウェーブなどの音楽ファンは必見の貴重な写真展。どうか見逃さないでほしい。
さらに、石田によるトークショーも同展で開催される。トークショーには、『RELAXIN’ WITH LOVERS』シリーズの発足時に音源のライセンス交渉、マスタリング、アナログカッテイングのため渡英したプロジェクトスタッフの2人がゲストに迎えられる。
4月7日（金）は薮下晃正（RELAXIN' WITH LOVERS）が、4月15日（土）は八幡浩司（24x7 RECORDS）がゲストに迎えられ、『RELAXIN’ WITH LOVERS』シリーズの誕生秘話からUKラヴァーズロックについてなど、石田との貴重なトークが繰り広げられるそうだ。トークショーの料金・時間・参加方法などの詳細は後日、JULY TREE のInstagram、Twitterのオフィシャルアカウントで発表されるとのことなので、そちらをぜひチェックしてほしい。
さらにJULY TREE（ジュライ・トゥリー）では、同展のTシャツ、トートバックや、ロゴのTシャツ、トートとバックも販売されているという。
渋谷エリアの新たなギャラリー、JULY TREE（ジュライ・トゥリー）と写真展〈Masataka Ishida Photo Exhibition RELAXIN’ WITH LOVERS ～photographs～〉。音楽ファンはぜひ足を運んでほしい。
INFORMATION
JULY TREE（ジュライ・トゥリー）
東京都目黒区青葉台4-7-27 ロイヤルステージ01-1A
営業時間：13:00～18:00
休館日：月曜日／火曜日
※オープン日以降、不定期での営業となります
※営業日などのお問い合わせはInstagram、Twitterの公式アカウントにお願いいたします
EXHIBITION INFORMATION
Masataka Ishida Photo Exhibition RELAXIN’ WITH LOVERS ～photographs～
2023年3月25日（土）～2023年4月25日（火）東京・神泉 JULY TREE（ジュライ・トゥリー）
EVENT INFORMATION
2023年4月7日（金）
出演：石田昌隆／薮下晃正（RELAXIN' WITH LOVERS／DUB STATION）
2023年4月15日（土）
出演：石田昌隆／八幡浩司（24x7 RECORDS）
（各回20名様限定）
PROFILE: 石田昌隆
1958年生まれ。たくさんの国を旅行して音楽関連の写真を撮影してきた。著書、写真集は、「1989 If You Love Somebody Set Them free ベルリンの壁が崩壊してジプシーの歌が聴こえてきた」「JAMAICA 1982」「ソウル・フラワー・ユニオン 解き放つ唄の轍」「オルタナティヴ・ミュージック」「黒いグルーヴ」。毎日Instagramに写真を出している。
