(左から)愛朔、太輝、桂佑、幹太、Ray

日本のみならず世界から注目を集めているバンド、DEVILOOF。
ヴィジュアル系とデスコアを融合させた独自の表現や音楽で厚い支持を得ている5人組だ。そんなDEVILOOFが、著名サウンドエンジニアのジェフ・ダン(Jeff Dunne)を迎えて制作したEP『DAMNED』で堂々のメジャーデビューを果たした。彼らが本作に込めたものとは? あるいは、メジャーデビューやヴィジュアル系メタルシーンについて思うこととは? 桂佑(ボーカル)、Ray(ギター/ボーカル)、愛朔(ギター)、太輝(ベース)、幹太(ドラムス)に、ヴィジュアル系に精通するライターの藤谷千明が訊いた。 *Mikiki編集部

DEVILOOF 『DAMNED』 徳間ジャパン(2023)

 

DEVILOOFがどこまで行けるか?に賭けたかった

――現在、メジャーとインディーズの境界がなくなったと言われて久しいですよね。DEVILOOFがメジャーデビューするというニュースを聞いて、正直とても驚きました。まずは、その選択をした理由を聞かせてください。

太輝「実際、ジャンル問わずミュージシャンが自主でも生きていける時代、音楽業界もそういうシステムになりつつありますよね。だからこそ、いってしまえば〈メジャーデビュー〉という言葉から縁が遠そうな音楽を演奏しているDEVILOOFが、あえてメジャーと手を組むことで、どんな化学反応が生まれるのかな……と。僕もメンバーでありながらDEVILOOFのファンでもあるので、DEVILOOFがどこまで行けるのか? そこに賭けてみたかった」

桂佑「もちろん、メジャーデビューするからといって、セルアウトしてガラッと音楽性を変えるようなことはしないですし、徳間サイドとの話し合いでも〈DEVILOOFのやりたいようにやってほしい〉と言われました」

太輝「この人たちとならDEVILOOFがもっと高みを目指せる、その相手が徳間というメジャーレーベルだったというか。

もともとリードトラックの“Damn”は、メジャーデビューの話は関係なく桂佑くんが以前から制作していた曲で、2021年にリリースした『DYSTOPIA』は、デスコア、メタルコア、アンダーグランドのヘヴィな音楽を追求した作品です。それをやりきった感覚があり、次の作品はブルータル一辺倒ではないものを、という共通認識がありましたね、だから〈次にリリースするのは“Damn”だ〉という認識が最初にありました」

――『DAMNED』は“Damn”ありきでスタートしたと。

太輝「そうですね、そこから王道のメタルコア的な“False Self”を入れよう、そこから現体制になってインストゥルメンタルがなかったし、ボーカル以外が主役の曲があってもいいのかなと“Terpsichore”が、ライブ重視の楽曲を最近作ってないなと“Afterlife”が……みたいに、“Damn”が核になってパズルを埋め合わせていった感じです」

桂佑「“Damn”の制作は結構時間がかかりましたね。

まず、ブルータルデスメタルの派生にスラミングデスメタルというものがあるんですけど、個人的にそういうジャンルが好きで、DEVILOOFの楽曲でもそういうリフワークを多用していたりするんですよ。そこにそこのDEVILOOFの核となるフレーズを置こうと。

加えて、最近の電子音系のサウンドを取り入れたいと思っていたのと、ニューメタルだとか、ハードコアだとかの音楽が好きでそういった要素も取り入れたくて。スラミングデスメタルと、ニューメタルハードコア系のリフ、プラス電子音を融合させて、新しいものができないかなと作ったのが“Damn”になります」