ジャズピアニスト兼メタラーの西山瞳さんによるメタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回は、メガデスのライブレポートをお届けします。2023年2月、大好評のニューアルバム『The Sick, The Dying... And The Dead!』を引っさげたジャパンツアーを開催した彼ら。タワーレコード渋谷店で初のインストアイベントを行うなど、話題を呼んだ来日でした。そんな彼らの日本武道館を全身に浴びてきた西山さんが、当日の興奮をハイテンションに伝えてくれます。 *Mikiki編集部
2月27日、メガデスの日本武道館公演に行って参りました!
今月(2月)は更新がないなと気にかけて下さっていた皆様、ありがとうございます。
今月は、何はともあれメガデス!と思っていたので、3月になっての更新となってしまいました。気持ちが盛り上がっているうちの、変なテンションで書きます!
武道館公演がアナウンスされて、これは絶対行くぞと思ってチケットを取ったのは昨年の11月頭でしたでしょうか。新作『The Sick, The Dying... And The Dead!』がとても良かったですし、またバンドの布陣が変わったようだったので、これはぜひ行きたかった。
メガデスは93年に武道館での公演予定がキャンセルになったという有名な話もあり、30年後にやっと実現ということで、これは絶対行かなきゃですね。
前回メガデスのライブを観たのは、〈LOUD PARK 15〉の時。元アングラのキコ・ルーレイロが加入した直後でした。
当時、〈メガデスにキコ、合うの?〉という声もありましたが、私個人的には大納得で、マーティ・フリードマン時代のあの〈ザクザクの中に突然現れる超絶濃い歌心〉という布陣を踏襲した、ぴったりの人選だなと思っていましたよ。マーティはJ-Popや演歌、キコはサウダージという泣き所のあるギターということで、演奏は全然違うけれどスピリットが似ている部分があるなと。
キコがアングラを離れるのは少し残念でしたが、アングラのメンバーもとても誇らしげにメガデスに送り出していた印象を受け、アングラの皆さんのアティテュードも素晴らしいなと思いました(昔だったら喧嘩別れのエピソードが後で雑誌に色々出てきそう)。
そして2月14日には、メガデス武道館公演にマーティ・フリードマンが参加というアナウンス! これはいよいよ見逃せないエピックなライブになるのではという予感で、楽しみが増えました。
当日まで色々忙しかったのもあって、全く復習せずにライブに臨みました。90年代までの作品は、スラッシュ四天王の中では一番メガデスを聴いていると思います。
最新作『The Sick, The Dying... And The Dead!』については、以前のこの連載で書いたものがあるので、ぜひご覧ください。
さて、開演30分前に会場に到着したのですが、今回、物販の列が凄かったみたいで、私も買えるのならメガデス湯飲みが欲しかったのですが、速攻で完売していたそうです。
今回私は2階席。平面のアリーナよりも、ステージから遠くても斜度がある席の方が、152cmの私には見えやすい。見渡すと圧倒的に男性ファンが多く、革ジャン着用率がわりと高めで、いい感じです。
予定時刻ちょうどに開始。
おなじみ“Hangar 18”で始まりましたが、あれ、武道館なのに音がモコモコしていない。
若干音量が小さめですが、ステージ正面ではない2階席のわりに、クリアに聞こえます。特にドラムの抜けが良くて、こんなクリアにドラムの音をここで聴けるのは結構珍しいかもなーと思って聴いていました。
そして、デイヴ・ムステインーー!!
Instagramを長くフォローしていますが、2019年に咽頭癌ということを発表して、闘病中も時々写真をアップしていました。新作『The Sick, The Dying... And The Dead!』で、キレキレの演奏をしてはいましたが、インスタを見ていたから、カムバックした実際の姿を見れて本当に嬉しい。
続けて“Dread And The Fugitive Mind”、古めの曲を2曲続けてもらえると、オールドファンはワンワン喜びますよ! ワンワン!
ですが、続く3曲目“The Threat Is Real”が始まった時、思わず大声で〈かっこいーーーーっ!!!!〉と叫んでしまいました(勿論マスクしてます)。
この攻撃的な刻みが本当に格好良くてですね、ベース、ドラムと合わさった音色が鬼の様に格好良いし、刻みが高速で一体感を持ってグルーヴしているし、そこにムステインが低い声で切り込んでいくのがクールで最高。先に演奏した旧曲2曲も良かったんですけど、あまりにも生音が格好良かったので、私、違うスイッチが入っちゃって、気付いたら〈やべー! かっこいいー、かっこいいいっ!〉と大声で叫んでしまいました。