ジャズピアニスト、西山瞳さんによるメタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回はファン待望、満を持してのBABYMETAL回です。2021年10月のライブ活動〈封印〉から1年3か月、2023年1月の単独公演〈BABYMETAL RETURNS -THE OTHER ONE-〉で封印が解かれた彼女たちから、ついに新作にして初のコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』が3月24日（金）に届けられます。『THE OTHER ONE』をいち早く聴いた西山さんが、アルバムの感想を綴ってくれました。 ＊Mikiki編集部
BABYMETALのコンセプトアルバム『THE OTHER ONE』が24日に発売となりました。リリースのアナウンスがあったその日に注文していたのですが、20日月曜には届いて、早速聴いています。
2021年後半、BABYMETALは〈封印〉ということで、この後どうなることかと心配になりつつ、長らくBABYMETALファンは待つのが仕事みたいなところもあるので、気長に待っていました。思ったより早い復活で、嬉しいです。
この連載でも何度もBABYMETALについて書いていますが、私自身がヘヴィメタルに本格復帰するきっかけにもなったグループでもあり、高校時代、最初にメタルに興味を持たせてくれたイングヴェイ・マルムスティーンと同様に、私の中では別枠の存在です。
2022年秋に復活を発表し、同時に今回のアルバム『THE OTHER ONE』のリリースもアナウンスされました。10月から配信で収録曲を少しずつ発表してくれているのですが、一刻も早く聴きたい気持ちと、アルバム発表時に細切れではなく、アルバム＝物語として聴きたい気持ちがせめぎ合った結果、毎回発表日に0時にApple Musicをチェックしています。
BABYMETALのこれまでの3枚のアルバムには、毎回、驚いていました。
ファースト『BABYMETAL』（2014年）はアイドルとメタルの合体の驚き、セカンド『METAL RESISTANCE』（2016年）はメタルのサブジャンルとの合体に驚き、サード『METAL GALAXY』（2019年）は他ジャンルとの合体に驚き、常に既存の型やジャンルとBABYMETALが融合し、異形の合体を見せてくれる楽しさがありました。
今作は、発表の時点でいつもアルバムタイトルに入っていた〈METAL〉という言葉が付いておらず、〈コンセプトアルバム〉と謳っていることからも、違うアプローチと予想。
その内容はいかに……ということで、届いた『THE OTHER ONE』を開けました。
すでに発表された曲も多い新アルバムですが、全体をまず聴いて、なんでしょう、このエピックな雰囲気は。
これまでBABYMETALは常に新鮮な〈なんじゃこりゃ!?〉の、ちょっとやけくそではないかと疑うレベルの合体チャレンジをぶちかましてくれていて、それに〈おお、乗った!〉ということを繰り返してきましたが、今回のアルバムは、レジェンド感すらある堂々たるもので、〈あれ、なんかすごいグループになっちゃった? コーチェラとか出てそうよ?〉などと思ってしまいました。歌詞も言葉遊び系がなく、声のトーンも前作よりも少し落ち着いて、かなり大人なBABYMETALになっています。
簡単に、一曲ずつ感想を。何も情報を入れずにフレッシュに聴きたい方は、聴いた後でどうぞ!
