ジャズピアニストの西山瞳さんによるメタル連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。第63回は、おなじみメタル出身のジャズプレイヤーへのインタビューをお届けします。今回登場してもらったのは、ドラマーの江藤良人さん。土岐英史さん、渡辺貞夫さん、綾戸智絵さん、大野雄二さん、日野皓正さん、山下洋輔さん、大西順子さんといったジャズ界の大物と共演してきた江藤さんは、実は〈ロック小僧〉なのだとか。HR/HMのルーツやキャリアについて、江藤さんにたっぷりと語ってもらいました。 *Mikiki編集部

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メタル出身で、プロのジャズミュージシャンになった方へのインタビューシリーズ。今回は、ドラマー・江藤良人さんにお話を訊きました。
数々のバンドで、日本の第一線でプレイし、そのしなやかで豪胆なドラミングは、ジャズファンならずとも生で見れば魅了されること間違いなし。
まずは、ソロドラムをどうぞ。

江藤さんとは、今年2月に名古屋でのイベントライブで久々にご一緒して、その際にインタビューをお願いしました。
江藤さんは、なんと、高校時代にコージー・パウエルのクリニックを受けて、そこで叩いた映像が残っています。記事内で紹介しますので、コージーを入り口に、どんな経緯でジャズのプロドラマーになったのか、ぜひご覧下さい。


 

スコーピオンズ、ホワイトスネイク、アイアン・メイデン、X……

――ドラムに興味を持って始めたのは、いつ頃ですか?

「小学校に上がる前、ベンチャーズとか歌謡曲を聴いてたんだけど、特にリズムに惹かれて、テレビ番組でドラマーが後ろの高いところでアクション大きく叩いてるのを〈格好いいなあ、ああいうのがやりたいなあ〉って思って見てた。

ドラムを始めたのは、10歳ぐらい。近所でバンドをやってた人に、使い古したドラムセットを貰ったんだよね」

――最初に叩いた曲や真似した曲って、覚えていますか?

「ずっと聴いてたベンチャーズの曲とか、その当時流行ってたハードロックだね。
それこそ、このあたり(スコーピオンズ『Love At First Sting』(84年)とホワイトスネイク『Slide It In』(84年)のレコードを取り出す)。

スコーピオンズの84年作『Love At First Sting』収録曲“Bad Boys Running Wild”

ホワイトスネイクの84年作『Slide It In』収録曲“Love Ain’t No Stranger”

こればっかり、朝から晩まで聴いてたよ。MTVとかで映像を観て、叩き方を真似したんだ。レコードを聴いて、どうやって手足をやっているのかなと試行錯誤して。この時は完全に自己流。そしたら新作でこれが出てさ(アイアン・メイデンの『Power Slave』(84年)を取り出す)」

――『Power Slave』は、最初はどういう印象だったんですか?

「びっくりしたね。普通の音楽は歌中心なのに、『Power Slave』は楽器の演奏主体で、ソロも間奏も長いし、〈なんじゃこれは〉みたいな。でもなんかほら、格好良いじゃない、ドラムもベースもバキバキで。ああいうのに惹かれたのかなあ」

アイアン・メイデンの84年作『Power Slave』収録曲“Aces High”

――バンドはいつ頃から始めたんですか?

「コピーバンドを始めたのは、中学の終わりぐらいからかな。

自分は楽器を始めたのが早かったけど、育ったのが三重の鈴鹿で、そんなに早く楽器をやっている子が周りにいなくて。これから楽器を始めるって子ばっかりで、下手っぴなコピーで一緒にやってたけど、集まって一緒に音を出せるのが本当に楽しかった」

――高校ぐらいになると、本格的にバンドはしていましたか?

「うん、でも、コピーバンドよ。とにかく文化祭に出よう!っていう魂胆でさ、これをやったのよ(X『Vanishing Vision』(88年)のレコードを取り出す)」

Xの89年のシングル“紅”

――おお! 当時のレコードですか!?

「もちろんオリジナル盤。当時、鈴鹿の隣の津市にインディーズのレコードを扱っているマニアックなおじさんがいて、確かそこで買ったと思う。で、これは当時の『ロッキンf』の付録(紙の袋に入ったソノシートを取り出す)」

――ソノシートだ! 懐かしい! 綺麗に保管していらっしゃいますね。でも、周りのお友達って、Xの速い曲を弾けたんですか?

「ボロボロではあるけど、なんとかみんな弾いてたよ。ドラムは、これぐらいならがむしゃらにやればできると思って、頑張ってやってた。僕は最初からツーバスでやってたし。

もう一つX繋がりで、これが最初のシングル(シングルレコード“I’LL KILL YOU”(85年)と“オルガズム”(86年)を取り出す)」

――いいい!! (変な声が出る)こ、これは……。

「『Vanishing Vision』の後に買ったんだけど、これもオリジナル盤。パンクでもないし、ロックでもないし、不思議なバンドだと思ったよ。こういうのを文化祭でやってたね。

当時、同級生の連中はZIGGYとかUNICORNとかをやってて、HR/HMを演奏してる人はそんなにいなかったかな。まあ聴いてた人はもちろんいるけど、主流ではなかったかも」

――高校時代、洋楽のコピーバンドはしていたのですか?

「元々コージー・パウエルが好きだったからツーバスで叩いてたし、だから洋楽はずっと好きで、レインボーとかをやりたかったんだ。そういうのを好きそうな同級生を集めてコピーもやってたけど、ただやっぱり、歌える人がいない。楽器はなんとかなっても、リードボーカルを取れる人が、さすがにいなかったなあ」

 

コージー・パウエルのセミナーを受けて感激

――その頃は全然ジャズには興味なかったんでしょうか?

「いや、やっぱり興味はあったの。

70年代に野獣(NOKEMONO)でデビューしたギターの中野重夫さん――同郷の同じ高校の先輩で、演奏はジミヘンみたいなで格好良いんだけど――その人のバンドのライブを高校の時に観たのね。そのバンドのドラムの人がレギュラーグリップで、ミッチ・ミッチェルみたいに叩くわけ。ほとんど1コードだけで、ずーっとインプロをやっているのが衝撃的で、〈何だこれは〉と思って。

それで、ミッチ・ミッチェルからジンジャー・ベイカーを聴いて、〈じゃあ、そういうドラミングのルーツはなんなのか〉と、ジャズに興味を持って。そしたらコージーもルーツにルイ・ベルソンがいたから、〈じゃあ、ルーツの人を聴いてみよう〉と思って」

ルイ・ベルソンの1955年のパフォーマンス動画。ルイ・ベルソンは2バスドラムのパイオニアとして知られている

――コージー・パウエルにハマったのは、どこからなんですか? クリニックも受けてらっしゃいましたよね。

「最初に聴いたのは、やっぱりホワイトスネイクの『Slide It In』。小学生の時に聴いて、スカッとした叩きっぷりが凄く好きで。〈モンスターズ・オブ・ロック〉の映像も観て、〈ああ、こんなふうに叩いたら気持ちいいな〉と思って。

コージー・パウエルのクリニックは、90年で17歳の時。写真もあるよ(写真を取り出す)。

高2の時、ヤマハのドラムセミナー合宿で〈ドラマーズ・キャンプ〉っていうのがあって、スペシャル講師がコージーとピーター・アースキン(ジャズドラマー、ウェザーリポートなど)。もう一人いたけど忘れた。生のコージーを目の前で体験できて、感激だったよ」

――このセッティングはコージーのですか?

「そう、ちょうどこの頃のコージーのセッティングで、ブラックサバスの『Tyr』(90年)の頃。このアルバムはウォークマンでずーっと聴いてた。

こんな距離感で叩いてるんだなと思ったよ。この時、コージーはまだ41、42歳だと思う」

コージー・パウエルの90年の〈ドラマーズ・キャンプ〉の動画。3分23秒から江藤良人が登場

――初めて会ったドラムヒーローについて、特別印象に残ったことって覚えていますか?

「スイッチの入り方が凄かった。普段の姿や話している時と全然違って、いざプレイするとなると、演奏する時のパワーというか、そこに賭ける、なんというか……情熱というか、言い表しにくい凄みが出てきて」

――ピーター・アースキンの印象はどうでしたか?

「その時はコージー一辺倒だったし、ジャズは興味あったけど、ピーター・アースキンって全然知らなかったの。髭の、まるっこいおじさんって感じだったな。

でもね、当然だけど、叩くとすっごい良くてさ。スティックワークとか音色、ダイナミクスにびっくりして、〈えっ、これがジャズの人なの〉って。それでなおさらジャズに興味を持ったところがある。だから、ジャズの道に進んだのは、この時のおかげかもしれない」

ピーター・アースキン・トリオの93年のライブ動画

 

アート・ブレイキーとエルヴィン・ジョーンズの謎めいた衝撃

――実際にジャズをプレイし始めたのはいつ頃ですか?

「その後、高校を卒業して東京に出て武蔵野音楽学院っていう専門学校に行って、その時の同期の人たちと空き時間に練習とかセッションをして、だんだん広げて(東京・新宿)ピットインの昼のジャムセッションに行くようになったの。そこで色んな人の演奏を聴いて知り合って、少しずつ呼んでもらうようになって。奏法や音楽的に足らない要素を徐々に発見して、色んな目標が出てきた」

――東京にはジャズをしようと思って出てきたんですか? バンドでもなく。

「プロでやっていきたいなっていう思いは最初からあったんだけど、その頃はまだ〈いつかはジャズもやってみたいな〉っていう感じで。色んなミュージシャンと知り合いになって演奏できたらなとは思っていたけど、最初から〈ジャズドラマーでやりたい!〉って感じではなかったと思う。

ただ、武蔵野音楽学院はジャズ系だったから、ジャズミュージシャンになりたい人が周りに多くて、そっちの方に目が行くっていうか。その頃にはエルヴィン(・ジョーンズ)とかを聴いてジャズばっかりやってたから、当時のコージーの作品は聴いてなかった」

――最初にジャズドラムで凄いと感じたドラマーって、誰でしたか?

「本当に最初に自分で買って聴いたっていうのは、アート・ブレイキーのCDだった。1950年代のブルーノートのライブ盤だね。

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの1958年のライブ動画

もう何をやってるのかわからないわけ。今まで、かっちりした楽曲しか聴いたことがないのに、アドリブで平気で10分とかやってるし、〈これは一体なんなんだ〉と。かたや、こっちはバスドラとスネアで〈ドンパンドンパン〉の世界やってたわけだから。

ロックってさ、いわゆる大サビとかで盛り上がった時にシンバルにいくけど、ジャズってずっとシンバルが鳴りっぱなしでしょ。それに凄く 興味があって、その辺かな。それを解明したいなって思った。

あとは、さっきも言ったエルヴィン・ジョーンズとか。最初によく聴いていたのは、ソニー・ロリンズの『A Night At The Village Vanguard』(1958年)とか、ジョン・コルトレーンの『My Favorite Things』(61年)とかで、だんだんエルヴィン自身の『Heavy Sounds』(68年)とかのリーダー盤を聴くようになったんだけど、あれも謎に思っていた。

エルヴィン・ジョーンズのドキュメンタリー動画

エルヴィン・ジョーンズの68年作『Heavy Sounds』収録曲“Shiny Stockings”

何が起こっているのか全然わからない。ブレイキー以上によくわからなかった。ブレイキーは、ロングソロもあるし、音符もわりときちっとしてるじゃない。マックス・ローチも。だけど、エルヴィンって、合っているのか合っていないのか、ハマっているのかハマっていないのか、よくわからない。結構荒っぽく聞こえるし、そうところに興味を惹かれた。実際はそうじゃないないんだろうけど、〈バタバタ、ドシャーン〉って聞こえるし、それが楽しいっていうか、刺激を受けたんだよね」

 

ロック小僧だから太鼓を遠くに置きたい!

――ジャズドラムを始めて、ロックと違って苦労されたことはどんな部分でしたか?

「バスドラムの踏み方、音色、チューニングも、全然違うよね。自分の演奏を録音して聴くとバランスが悪かったりとか、欠点やマイナス要素を見つけて、少しでもエルヴィンとかのああいう感じのサウンドになればと、自分なりに考えてやっていった。ビデオテープが擦り切れるまでドラマーの演奏を繰り返し観て、フォームを真似したり、前屈みになってみたり、奏法を真似して。体格も身長も違うけど、工夫してね。ドラムセットも、昔のグレッチのビンテージのセットを使ったりして。

この頃のコージー(のバスドラムのヘッド)は24インチ。バスドラムはでかいものだと思っていたから、ジャズで使う18インチとか、最初は〈ええっ!〉と思ったもん。シンバルも、元々使っていたパイステの煌びやかな固めのだとサウンドがバンドの演奏に混じらないから、ジルジャンとかのジャズ系で使うような古いのに変えて。スティックも細いのに変えたり、一点ずつ全部違うのよね」

――今、鬼怒無月さん(ギター)とされているセッションは、ジャズセットでやってるんですか?

「鬼怒さんとのロックセッションは、ロックセット。それは、そういうサウンドが欲しいから。

ジャズドラムで培った要素は全く取り入れていないわけじゃなくて、バスドラムのチューニングもタイトにせずに、サステインがある感じの、ジャズっぽく鳴りすぎない感じではやってたりするかな」

鬼怒無月、佐藤研二&江藤良人のライブ動画

――そもそもの話なんですが、江藤さんは今のご自分をジャズドラマーと思っていらっしゃるんですか?

「全然思ってないね、うん、思ってない。あんまり決めてないっていうか、昔から決めるのは好きじゃないんだけど。ちゃんとジャズをやった方がいいのかね(笑)」

――ロックをやっていたことで、現在のジャズのプレイに活かされていることってありますか?

「やっぱり安定感とかパワー感とか、音のビジョンはロックで身に付けたものじゃないかな。音の引き出し方っていうのは表面的なところだけじゃなくて、音の厚みとか幅とか、楽器全体をポーンって鳴らすことだから。スピード、パワー、音量、あと、ロックはドラムが凄く安定してないとダメじゃない。

あとね、ロック小僧だから、ドラムセットのそれぞれの太鼓を遠くに置くのが好きなの」

――ああ、なるほど!

「わかるやろ? 可能な限り遠くに置きたい。もちろん見た目の格好良さもあるけど、全部簡単な近いところにあると、スケール感も小さくなるし、面白くないの。遠くに置くと、オーバーアクションで叩くことになって、打つまでに少しタイムラグがあるわけ。だから、音の溜めができる気がする。そういうのが好きみたい。

あと、距離があると、音が分離して気持ち良いの。ぐしゃっとならず音が広がって、スケールが大きくなる。でも、離して四方に配置してある分、手首のグリップとかきちっとしてないと、叩けない」

――ジーン・クルーパとかは、どんな感じだったんでしょうね。見せ物としてのドラムセットが彼の頃から始まってるわけですよね。

「あの辺のセットも、実際叩いたら結構ダイナミックになる配置なんじゃないかな。特に1930年代、40年代の映像や写真を見たら、バスドラムも大きいじゃない。30インチぐらいあったりするから」

ジーン・クルーパの60年のパフォーマンス動画

――ジーン・クルーパ、バディ・リッチ、ルイ・ベルソンなど、初期のジャズドラマーの名前は、ロックをやっていた時に知ってましたか?

「名前ぐらいは知ってた。やっぱりその辺の人たちの憧れでもあるから、興味はあったんよね。

例えば、コージーのレインボーでやってた頃のドラムソロには、ルイ・ベルソンのドラムソロをそのままロックドラムに置き換えたのとかがあるからね。デューク・エリントンの“Skin Deep”かな、あの辺のソロを、ロック風にツーバスに置き換えて引用してるのもあって」

デューク・エリントンの1953年作『Ellington Uptown』収録曲“Skin Deep”

――コージーはルイ・ベルソンが好きだったんですか。

「好きだったみたい。ツーバスを使うことに関しても影響を受けたんじゃないかな。もちろんジンジャー・ベイカーもそうだけど」

――ルイ・ベルソンって変なセッティングでしたよね。

「そうそう。まあ、ほとんどショーアップのためって感じもあるし。

例えばマックス・ローチの『Drums Unlimited(限りなきドラム)』(66年)ってアルバムがあって、ドラムソロの曲があるんだけど、ジョン・ボーナムがここから沢山引用してるんだよね。オフィシャルのアルバムでは入ってないかもしれないけれど、ブートのライブ盤を聴くと、沢山あるんだよ。だから、彼らにとってもジャズドラマーっていうのはドラムヒーローで、ネタの宝庫だったと思うの。やっぱりドラミングの勉強要素なんじゃないかな、ルーディメンツ的なことだったり、奏法のこととか」

マックス・ローチの66年作『Drums Unlimited』

 

レギュラーグリップは細かい音のニュアンスを表現できる

――基本的なことなんですけど、レギュラーグリップ(ジャズだとこちらが主流)で演奏する利点を、ジャズドラマーから改めてお伺いできればと思います。

「元々小太鼓は、昔は行進しながら肩からかけて傾いた状態で叩いてたから、レギュラーグリップはちょうどそれに合うのね。昔のジャズドラマーは基本的にはそう。でもアート・ブレイキーとかマックス・ローチは、両方使う。やっぱりマッチドグリップの方が、一つ打ちのパワーが出るからね。だけど細かい音のニュアンスを考えると、レギュラーの方がいい」

――ブラジルのメタルバンド、アングラのドラマーのブルーノ・ヴァルヴェルデがレギュラーグリップなんですよ。

「格好良いね。スチュワート・コープランド(ポリス)もずっとレギュラーグリップだよね。コージーも、マイケル・シェンカー・グループの頃まではレギュラーグリップで叩いてたよ。“Into The Arena”とか。めっちゃ格好良い。

コージーがレギュラーで叩いてた影響もあって、自分はレギュラーグリップをやるようになったんだと思う。だから、高校の文化祭でレインボーの曲を演奏したビデオが残ってるんだけど、それはレギュラーで叩いてるよ」

マイケル・シェンカー・グループの81年のライブ動画

 

江藤良人がメタラーに勧めるジャズアルバム

――それでは、皆さんに訊いている質問ですが、メタルファンにお勧めするジャズアルバムを教えて下さい。

「アート・ブレイキーの『A Night In Tunisia』(61年)。このドラムのロングソロを聴くと、ジャズもロックもへったくれもないなって思う。パワーと揺るぎのない迷いのない演奏っていうのが、〈これはロック魂〉って言ってもいいぐらい。

この前、たまたまBGMで聴いて、思わず聴き入ってしまって再確認した。それはお勧めするかな。

ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS 『A Night In Tunisia』 Blue Note(1961)

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの61年作『A Night In Tunisia』収録曲“A Night In Tunisia”

あとは、マハヴィシュヌ・オーケストラ。ファーストの『The Inner Mounting Flame』(71年)に入ってる“Vital Transformation”とか、スキャッターブレインみたいなのもあるよね。あれはよく聴いたなあ。

MAHAVISHNU ORCHESTRA 『The Inner Mounting Flame』 Columbia(1971)

マハヴィシュヌ・オーケストラの71年作『The Inner Mounting Flame』収録曲“Vital Transformation”

新しめのやつだと、近年大好きでお勧めなのは、テリエ・リピダル(Terje Rypdal)の『Conspiracy』(2020年)。昔のアリルド・アンデルセンのバンドのドラマー(ポール・トーセン)が今世紀に復活したやつなの。この人のシンバルの感じと太鼓のドタバタ加減が凄くいい。他のメンバーは多分若い人だと思うけど、結構えぐい。

ハモンド(オルガン)とかを使ってたり、ジャズロックの感じでバキバキ。ただし35分ぐらいしかない。すぐ終わる。だからずっとリピートして聴けるわけ。

これはちょっとメタルの人に聴いてほしいな。音も凄く良いのよ」

TERJE RYPDAL 『Conspiracy』 (2020)

テリエ・リピダルの2020年作『Conspiracy』収録曲“Conspiracy”

 

江藤良人がジャズファンに勧めるメタルアルバム

――それでは、ジャズファンにお勧めするメタルアルバムを教えて下さい。 

「まあ、最初に挙げた『Love At First Sting』じゃないかな。

SCORPIONS 『Love At First Sting』 Harvest/EMI(1984)

あとはこれ(レコードを取り出す)。コロナー(Coroner)の『Punishment For Decadence』(88年)。これ、良いよ、暗くて。当時、伊藤正則の番組で一瞬ぱっと流れて、それを聴いてすぐ買ったもん。多分スイスのバンドだったと思う。

CORONER 『Punishment For Decadence』 Noise(1988)

コロナーの88年作『Punishment For Decadence』収録曲“Masked Jackal”

他は、先に挙げたアイアン・メイデン『Power Slave』のニコ・マクブレインのシンバルワークとか、凄く勉強になると思う。カップとベルの縁のエッジの音とかの使い分けとか、ドラマーならわかる上手さがあって」

IRON MAIDEN 『Power Slave』 EMI(1984)

 

メタル系のドラマーはみんな上手い

――江藤さん的に、メタルで〈この人は本当に上手いな〉と思うドラマーって誰ですか?

「みんな上手い(笑)。メタル系の人の粒が揃ってるツーバス、耐久力とかが本当に凄いなって思うんよね。だってさ、ちょっと足の調子が悪かったら続かないもんね。ニコなんてシングルのくせに〈ドドドド〉ってやってたりするから、〈調子悪かったらどうするんやろ〉って思ったりする。

やっぱり凄いのはデイヴ・ロンバード(スレイヤー)じゃない? 今、テスタメントをやってるよね。

デイヴ・ロンバードのライブ動画

あと、ジューダス・プリーストの『Painkiller』(90年)は当時衝撃だったな、1曲目(“Painkiller”)のスコット・トラヴィスのドラムイントロがやばいぐらい格好良い。

ジューダス・プリーストの90年作『Painkiller』収録曲“Painkiller”

ああ、BABYMETALで叩いてる青山英樹さんも凄いよね。生で聴いてみたいな」

青山英樹の2016年の試奏動画

――沢山お話しいただき、ありがとうございました。江藤さんのリーダー作の新譜『Everything I Love』は4月発売で、CDと同時にアナログもリリースされますね。

「このアルバムはテープでレコーディングしたの。途中で失敗したら止めて巻き戻して、ほとんど1テイクずつしか録ってない。自分のレコーディングでアナログレコーディングは初めてだった。普段から、ドラムって特にやり直したりパンチインしたりしないけどね。ジャズファンだけでなく、これを読んでもらったロックファンにも聴いてもらえたらいいな」

 


■江藤良人
RELEASE INFORMATION

江藤良人 『Everything I Love』 Studio TLive(2023)

■CD
リリース日:2023年3月10日
品番:STLR-025
価格:3,300円(税込)

TRACKLIST
1. She (George Shearing)
2. Whoa! (Takumi Awaya)
3. Con Alma (Dizzy Gillespie)
4. The Star-Crossed Lovers (Billy Strayhorn) 
5. Dear Old Stockholm (Traditional)
6. The Circle of Color Emotions (Mayuko Katakura)
7. My Ideal (Leo Robin / Richard A. Whiting & Newell Chase)
8. Funky Chu (Yoshihito Eto)
9. A Flower is a Eovesome Thing (Billy Strayhorn)
10. Simone (Frank Foster)
11. Nascimento (Barry Harris)

■LP
リリース日:2023年4月12日
品番:STLR-026
価格:3,300円(税込)

TRACKLIST
SIDE A
1. Funky Chu (Yoshihito Eto)
2. The Circle of Color Emotions (Mayuko Katakura)
3. She (George Shearing)

SIDE B
1. Dear Old Stockholm (Traditional)
2. Con Alma (Dizzy Gillespie)
3. Whoa! (Takumi Awaya)

 

LIVE INFORMATION
江藤良人with Friends~50th Birthday
2023年4月13日(木)東京・めぐろパーシモンホール(小ホール)
開場/開演:18:30/19:00
出演:江藤良人(ドラムス)/類家心平(トランペット)/田中邦和(サックス)/スガダイロー(ピアノ)/石成正人(ギター)/秋田紀彰(ベース)
前売り/当日4,000円/4,500円
https://kikakugarden.com/persimmon_birthday_jazz/

江藤良人トリオ『Everything I Love』CD&レコード発売記念ツアー
2023年4月16日(日)三重・鈴鹿 どじはうす
2023年4月17日(月)愛知・名古屋 jazz inn LOVELY
2023年4月18日(火)京都 Bonds Rosary
2023年4月19日(水)徳島 swing
2023年4月20日(木)岡山・倉敷 AVENUE
2023年4月21日(金)広島 Lush Life
2023年4月22日(土)福岡・天神 Jazz inn New Combo
2023年4月23日(日)熊本 酔ing
2023年4月25日(火)大阪 ROYAL HORSE
2023年4月26日(水)静岡・富士 KOLN
2023年4月27日(木)長野・茅野 蓼科高原 ピラタス2
2023年4月28日(金)東京・吉祥寺 SOMETIME
出演:江藤良人(ドラムス)/片倉真由子(ピアノ)/粟谷巧(ベース)
https://eto.mockhillrecords.com/

 

■西山瞳
LIVE INFORMATION
2023年4月21(金)東京・池袋 Apple Jump
開場/開演/終演:19:00/19:30/22:00(予定)
出演:西山瞳トリオ 西山瞳(ピアノ)/西嶋徹(ベース)/則武諒(ドラムス)
チャージ:3,500円

2023年4月22(土)神奈川・横浜 上町63
開演:15:00(1st)/16:30(2nd)
出演:西山瞳(ピアノ)/吉野弘志(ベース)/池長一美(ドラムス)
チャージ/学生:3,300円(ドリンク代別)/2,750円(ドリンク付/要学生証提示)

2023年4月24日(月)東京・大泉学園 in F
開場/開演:19:30/20:00
出演:小美濃悠太(ベース)/西山瞳(ピアノ)/秋元修(ドラムス)
チャージ:3,000円

★詳細とその他のライブについては西山瞳のオフィシャルサイトへ

 

RELEASE INFORMATION

西山瞳 『ホームタウン』 MEANTONE(2022)

リリース日 :2022年11月9日(水)
品番:MT-11
価格:2,750円(税込)
紙ジャケット仕様

TRACKLIST
1. Fairy Tale フェアリー・テイル(作曲:西山瞳)
2. Take the “K” Train テイク・ザ・ケー・トレイン(作曲:西山瞳)
3. Yawn ヨーン(作曲:西山瞳)
4. Walking in the Park ウォーキング・イン・ザ・パーク(作曲:西山瞳)
5. 200km 200キロメートル(作曲:西山瞳)
6. HIRAKATA Park West ヒラカタ・パーク・ウェスト(作曲:西山瞳)
7. Our Memorial Attractions アワ・メモリアル・アトラクションズ(作曲:西山瞳)
8. Romance ロマンス(作曲:西山瞳)

録音日:2022年4月18日、奈良 NMG Studio
録音/ミックス/マスタリング:三輪卓也(NMG Studio)
アートディレクション/平岡直樹(yuu)

西山瞳(ピアノ)
鈴木孝紀(クラリネット)
光岡尚紀(ベース)

 


PROFILE: 西山瞳
79年11月17日生まれ。6歳よりクラシックピアノを学び、18歳でジャズに転向。大阪音楽大学短期大学部音楽科音楽専攻ピアノコース・ジャズクラス在学中より、演奏活動を開始する。卒業後、エンリコ・ピエラヌンツィに傾倒。2004年、自主制作アルバム『I’m Missing You』を発表。ヨーロッパジャズファンを中心に話題を呼び、5か月後には全国発売となる。2005年、〈横濱JAZZ PROMENADE ジャズ・コンペティション〉において、自身のトリオでグランプリを受賞。2006年、スウェーデンにて現地ミュージシャンとのトリオでレコーディング、『Cubium』をSpice Of Life(アミューズ)よりリリースし、デビューする。2007年には、日本人リーダーとして初めて〈ストックホルム・ジャズ・フェスティバル〉に招聘され、そのパフォーマンスが翌日現地メディアに取り上げられるなど大好評を得る。以降2枚のスウェーデン録音作品をリリース。2008年に自己のバンドで録音したアルバム『Parallax』では、スイングジャーナル誌日本ジャズ賞にノミネートされる。2010年、〈インターナショナル・ソングライティング・コンペティション〉(アメリカ)で、全世界約15,000のエントリーのなかから自作曲“Unfolding Universe”がジャズ部門で3位を受賞。コンポーザーとして世界的な評価を得た。2011年発表『Music In You』では、タワーレコードのジャズ総合チャートで1位、HMVの総合2位にランクイン。CDジャーナル誌2011年のベストディスクに選出されるなど、芸術作品として重厚な力作であると高い評価を得る。2014年には自身のレギュラートリオ、西山瞳トリオ・パララックス名義での2作目『Shift』を発表。好評を受け、アナログでもリリースする。2015年には、ヘヴィメタルの名曲をカバーしたアルバム『New Heritage Of Real Heavy Metal』をリリース。マーティ・フリードマン(ギター)、キコ・ルーレイロ(ギター)、ヤング・ギター誌などから絶賛コメントを得て、発売前よりメタル・ジャズの両面から話題になり、すべての主要CDショップでランキング1位を獲得。ジャンルを超えたベストセラーとなっている。同作は『II』(2016年)、『III』(2019年)と3部作としてシリーズ化。2019年4月には『extra edition』(2019年)もリリース。自身のプロジェクトの他に、東かおる(ボーカル)とのボーカルプロジェクト、安ヵ川大樹(ベース)とのユニット、ビッグバンドへの作品提供など、幅広く活動。〈横濱JAZZ PROMENADE〉をはじめ、全国のジャズフェスティバルやイベント、ライブハウスなどで演奏。オリジナル曲は、高い作曲能力による緻密な構成とポップさが共存した、ジャンルを超えた独自の音楽を形成し、幅広い音楽ファンから支持されている。