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今の社会を生きる人たちへの問いかけ

――そして、2曲目、“The Blackened Sun”は太輝さん作詞作曲です。

太輝「この曲の作詞作曲は僕です。まず“Damn”があって、次に“False Self”を入れるという構想があったので、じゃあテイストのかぶらないものがいいなと。そこで以前ボツにしていた“The Blackened Sun”のもとになるデモのことを思い出したんです。

最近のモダンなメタルというよりは、80’s的なスラッシュメタル的なリフ、オールドスクールな感じのリフがガッツリ入っているので、それをそのままやったら流石にダサいというか、DEVILOOFに合わなさすぎる。では、あえてクラシックな型にモダンな電子音を入れるとどうなるんだろう?という実験精神で生まれた曲ですね」

――伝統とモダンのハイブリッドというか。

太輝「タイトルは僕の大好きなメタリカの“Blackened”からきています。構成も、1番と2番の間奏でベースが入ってないんですけど、これも当時のメタリカのアルバムへのオマージュになっています。この曲の最後はギターソロで終わっているんですけど、これもスレイヤーの“Raining Blood”メガデスの“Hangar 18”のような展開を入れてみたりとか。そんなリスペクトを込めた曲ですね」

――そこから元の曲を聴いてみるのも面白そうですね。

太輝「歌詞は、“The Blackened Sun”も“Afterlife”も共通しているんですけど、今の時代、いろんな情報が溢れてすぎていて、人間が自分の頭で考えて生きていくことができていないのでは?と。そんな、今の社会を生きている人たちへの僕からの問いかけです」

――日々そういう風に感じることがあるのでしょうか。

太輝「たとえば、ドナルド・トランプが大統領に当選したあたりから、ネット上にフェイクニュースがあふれるようになってきたと感じています。昔……、数千年前から近現代に至るまでは、人間の生活において宗教が不可欠なものとしてあった。それが現代は科学にとってかわり、その結果僕らは豊かな生活を送っているけれど、それがフェイクニュースによって反知性・反科学主義みたいなものが蔓延し、そこに煽動されてしまっている人がたくさんいる。結局フェイクニュースって中世に起きた宗教の腐敗と共通しているんじゃないかというのが、僕の考えです」

桂佑「(フェイクニュースを信じてしまう人たちは)テクノロジーに慣れてない人たちが多いイメージあるね」

太輝「人間なのだから、知識を持って物事を考えて判断していってほしい。そうしないとまずいことになるんじゃないかという問いかけです。

次の“Afterlife”も僕の作詞ですけど、やはり共通した問題意識で書いています」

『DAMNED』収録曲“Afterlife”

――作曲はRayさんですね。

Ray「皆のように、語れる自信ないぞ!?」

桂佑「思いの丈をぶつけろよ!」

Ray「なんとなーく作って、なんとなーくできた!(バンザイ)」

幹太「前に〈ライブでノレる曲を作りたい〉言うてたやん!」

Ray「メジャーに行くにあたって、活動する場所が広がるなら、イベントライブなんかでDEVILOOFを初めて観る人が増えるんじゃないかなと思って。1番を聴いて2番も想像がつくような展開の曲というか、初めて観る人でも最初から最後まで楽しめる曲がほしいなと思って作りました。で、終わりなんですよ。ちゃんとこういうときに喋れるようにならなアカンな」

――この後のインストゥルメンタル“Terpsichore”もRayさんですね。

太輝「これも俯瞰的な話になるのですが、デスコア系のエクストリームミュージックって、超絶技巧のドラマーとすごい声を出すボーカリストだけが目立っているイメージがあるような気がして、でもバンドというものは4人5人いて、ギターもベースも主役になっていいはず。Rayくんによるギタリストが主役の曲を残してほしかった。そう思って僕のほうからRayくんに〈インスト曲を作ってみてくれへんか?〉と提案したんです」

『DAMNED』収録曲“Terpsichore”

Ray「えっと……。ヴィジュアル系とデスコアの融合って、日本人にしかできないものだと僕は考えているので、もっとデスコアとかメタルな方向に寄ったインストゥルメンタルを作っても良かったんですけど、メロディアスなものも自分のルーツにあるものだし、それはヴィジュアル系らしさでもあるというか。

サビは和を意識したりしているけど、急に展開が変わってメタルコアになったり、初めての挑戦ばかりでした。でも、自信のあるものが出来上がってよかったと思っています」