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君が僕を知ってる

PIGGS 『YOU KNOW ME』 ARIOLA JAPAN(2023)

――その日のアンコールで初披露されたのが今回のニュー・シングル“YOU KNOW ME”でしたが、リリース自体は前から決まっていたんですよね。

プー「そうです。だから“YOU KNOW ME”もカップリングの“ワイルドサイドを歩け”も5人で録っていて、ほぼほぼ完成ぐらいまで進んでました(笑)。そもそもファイナルでは、帰ってきた私が4人に合流して〈ここからまた歩いていこうね〉っていう意味で“ワイルドサイドを歩け”を初披露する予定だったんですけど、それだとCHIYO-P推しの人がどんな気持ちで観ていいのかわかんなくなるし、もっと明るく未来に向かって歌いたい曲なので〈ちょっと今回じゃないね〉ってなって。それで、CHIYO-Pに向けた曲ではないけど、その意味も持たせて“YOU KNOW ME”のほうを披露しました」

――作者のRyan.Bさん的にはどういう意味合いで書かれた曲なんでしょう。

プー「曲の意味は歌詞そのままで、カップルでも友達でも家族でも、お互いわかり合えないことのほうが大きいじゃないですか。関われば関わるほど。でも、そんな部分すらも好きって言える関係って素晴らしいし、そんな君が僕のことを知ってくれてるから僕は安心してがんばれるっていうのを伝えたい、みたいに言ってましたね。個人的には、アイドルの解散が続いてオタクが悲しそうにしてる様子を見ていたので、そこに寄り添いたいと思って、この曲をこの時期のリリースに選んでました」

――初披露の場ではCHIYO-Pさんを重ねて聴いた人が多いと思うんですけど、もう少し広く解釈できる歌ですよね。

BAN「人と出会ってなかったら歌えない曲です。初披露の時はどんな気持ちで歌ったらいいのか難しかったけど、当日はぶーちゃんズをよく見て、ぶーちゃんズと自分の気持ちをいっぱい感じようと思って歌いました。歌いたい相手がいて、これを歌えるっていうのが凄く嬉しくて」

KIN「曲を聴いて、最初に自分たちの共同生活のことが浮かびました。好きなとこもあるし、深く知ってるからこそ嫌いなとこも出てくる。でも憎めないし、それも含めて好きだなって。どういう言葉が当てはまるかわかんないですけど、人と人との繋がりを歌った歌だなって思います」

――一方のカップリングが、さっき話に出た“ワイルドサイドを歩け”です。

プー「いつも〈ルー・リードでしょ?〉って言われるんですけど、わかんないんで先に言っときます(笑)。これはそのままPIGGSのお話ですね。ここ1年ぐらいは知らない人に届けたいっていう気持ちもあって外に向けた曲が多かったんですけど、今回は原点に戻ったというか、やっぱりPIGGSは自分たちの悩みとか現状を歌って〈みんなもそうだよね。一緒にがんばろう〉が似合うのかなって感じたので、それを踏まえて出来た曲でもあります。ただ、この曲に向かうまではシビアな状況があって……(省略)……ホントに〈このままじゃPIGGSなくなっちゃうよ〉ってマイナス5億地点まで行くような大喧嘩をしまして(笑)。私は私で周りのモチベーションの変化を感じていたり、年齢的な焦りもあったりして」

――いまもその状態?

プー「いや、復活しました(笑)。そういう状況にRyanが気付いて、チームのMETTYと(カミヤ)サキちゃんと4人でご飯に行く機会を作ってくれて。そこで自分の人生とか、いずれ子どもが欲しいとか〈そういう現実問題もあるじゃん〉みたいに話したら、〈プー・ルイなんだから、もし本当にそれがやりたい時期が来たら子どももリリースすればいいじゃん〉〈まだ起こってもないことに悩むより、それが起きた時に腹を括ればいいじゃん〉みたいに言ってくれて、それで救われたというか。みんなが〈ついていくから気が済むまでやろうよ〉って言ってくれたので、そこでけっこう変わりました」

――そういう面での焦りが和らいだというか。

プー「はい。もう少しメンバーのことも長い目で見て、自分のやりたいことを積み重ねていくっていう考えになれました。まあ、別にいますぐ子どもが欲しいという話ではないし、ぶっちゃけグループ内で解決していない問題もあるけど、しっかり向き合って良くしていければいいかなって」

KINCHAN

――っていう状況を経ての、“ワイルドサイドを歩け”。

プー「そう、険悪な時期を経て歌えるようになりました(笑)。またここから新メンバーを入れて歩いていくので」

BAN「私は〈My Way is Rolling Stone ぶつかって磨かれて〉っていう歌詞が凄い好きです。何かに向かって歩いてるから、人との関係だったり自分の中の壁だったりにぶつかったりするけど、それは先に向かってるからこそだし、そうやってぶつかって磨かれて進んでいくんだっていう気持ちになれるから、そういう傷も大事にして向かっていくぜって思います」

SHELL「私は2番のサビの〈何にもないとこから絡まった妙な運命〉とかを歌ってるんですけど、自分もたまたまバイト先のアイドル好きな人が〈プー・ルイがオーディションやってるよ〉って教えてくれて、絶妙な縁でPIGGSに入れて。自分では別に茨の道を歩いてきたとは思ってないんですけど、順風満帆じゃなかったっていう意味では素直に気持ちを乗せて歌えるなと思っています」

KIN「〈お前が言うな〉って思われるかもしれないんですけど……PIGGSって何かが突出してる天才みたいな人はいないし、でも、そういうものがなくても〈やりたいならやってやろうぜ!〉っていう気持ちになる歌だし、今回のオーディションでも候補生と一緒にやったんですけど、候補生のみんなにも似合う曲だなって思いながらやってました。何にもないとこから始めたいと思って応募してくれた子もいるだろうし、歌とかダンスが上手とかじゃなくても〈自分はこうなりたい〉って夢を追う人はやっぱりカッコイイなと思って。この曲にある気持ちを、PIGGSを大きくしていくなかでいろんな人に届けていきたいです」

――その意味では、良いタイミングでオーディションがあったのかもしれませんね。

KIN「はい。オーディションがあったのは大きいと思う」

プー「そもそもは6人組にしたくて、実はCHIYO-Pの件と関係なくオーディションは準備していたんですよ。KINCHANも魔王になって初々しさがなくなったし(笑)、PIGGSも変わらないといけない時期ではあったので。でも、思った以上に、自分たちの側もいろいろなことを感じるオーディションになりました」