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中上雅夫(新宿店)

NORA GUTHRIE 『Emily’s Illness c/w Home Before Dark』 EM(2023)

ノラ・ガスリーは、あのウディ・ガスリーの娘である。67年、17歳のときにマーキュリーからリリースした唯一のシングルの存在は知っていたが、フォークだと思ってたので、フォークはあまり聴かない自分としてはいつか聴ければいいという感覚でいた。

このたびリリースされた再発盤は2009年以来2回目のプレスということだが、このノラを写した写真に引き込まれ、購入することにした。たしかにフォークとも言えるが、これは当時影響を受けたアストラッド・ジルベルトなどに通じるボッサ味のあるソフトポップスであり、アシッドな感覚も備えている上質な楽曲であった。

オリジナル盤はジャケなしのカンパニースリーブであると思うが、この再発は歌詞や写真などもあり、ひじょうに丁寧なつくりで、これがあればオリジナルを探さなくてもいいかなと思えるし。本年いろいろ買ったレコードの中でも買ってよかったな、としんに感じた一枚。

 

塩谷邦夫(TOWER VINYL)

吉田美奈子 『BELLS ~Special Edition~(限定アナログ盤)』 ユニバーサル(2023)

86年に自主制作で3,000枚のみCDリリースされた『BELLS』が初アナログレコード化となり、この作品が持っているインティメイトな雰囲気をより味わうことができました。

2017年に『愛は思うまま』『モノクローム』、2018年に『MONSTERS IN TOWN』『LIGHT’N UP』『IN MOTION』、2020年に『MINAKO』『MINAKO II』『FLAPPER』『TWILIGHT ZONE』、2021年に『扉の冬 BOX』、2022年に『EXTREME BEAUTY』『Key』『Spell』、そして2023年には『DARK CRYSTAL』『gazer』ときて、70~90年代の作品群のアナログ復刻もひとまず終わり。ちょっと寂しいんですが、2023年は〈『BELLS』に針を落として聴く〉という夢が叶った年となりました。

僕のなかでは彼女もまた風街の住人。渋谷、青山の街並みが急激に変わっていってしまうなか、時を同じくして吉田美奈子のアナログレコードが発売され続けていたことが何とも嬉しかった!

 

髙橋直樹(TOWER VINYL)

Especia 『GUSTO』 TOYOKASEI(2023)

何年か前にシティポップがメディアで取り上げられ、アメリカをはじめ韓国、香港といった世界各国で人気を集めているという記事を目にした。シティポップブームもいつかは終焉が来てしまうのかと不安もあったが、2023年8月5日に開催されたCITY POP on VINYL 2023の充実したカタログを見て、その不安は見事に裏切られた。そんな中でマイベストレコードに選定した1枚がコチラ!

大阪・堀江で活動していたガールズグループ。シティポップが流行る前に独自路線を突き進み2017年に惜しくも解散してしまったが、本作はネオシティポップとして今も人気が高く初アナログ化は嬉しいかぎり! おしゃれなインテリアになるジャケットデザインとシティポップからディスコ/AOR、フュージョンサウンドといった音の色彩さがとてもカラフルで目と耳、両方で楽しめる1枚!

メンバーの脇田もなりは解散後もソロで活動中。PAPER MOON PROJECT『CITY POP AVENUE』で泰葉の名曲“フライディ・チャイナタウン”を披露しているので、そちらもオススメ!