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スパッとした感じ

 そして表題曲の“アンビバレント”。すでにTVアニメ「薬屋のひとりごと」第2クールの主題歌としてリリース前からオンエアされているが、こちらはバラードが続いたシングル表題曲としては珍しく、アップテンポの爽快なナンバー。

 「お話をいただいて、原作の漫画と、小説も読ませていただいて。人気の理由がわかったというか、私も夢中になって読んだので、これは作品を愛されている方の異物にならないようにしないとなって思いました。アニメの世界観にはすごくシリアスな面とラヴコメのような部分があって、曲を書くにあたってそれをすべて含めるのは難しいなと思っていたんですけど、主人公の猫猫と主要キャラクターの壬氏という2人の距離感みたいなものに焦点を当ててほしいというご要望があったので、すごくテーマが絞れました。アニメを知らずにこの曲を聴いた方にとっても、身近にいるすごく憧れの存在を思い浮かべながら聴けるような曲になったらいいなと思っています」。

 彼女にとって初めてのオープニング曲というのも、作風に影響しているようだ。

 「ヒロインの猫猫が、 本当はものすごく複雑な過去を背負ってるはずなのに、それに引っ張られていないというか、すごくサクサクとした性格なんですよね。そういうところで、曲調も明朗な感じのほうが似合うんだろうなって思いました。オープニングテーマということで、スパッとした感じの曲にしたくなりました」。

 スパッとした感じ……そんな楽曲を編曲で盛り立てたのは、田中隼人。近年ではDAOKO × 米津玄師“打上花火”など、ポップスのなかにダンス・ミュージックをうまく織り込みながら王道のJ-Pop的に仕立てる、そういった手腕に富んだアレンジャーだ。Uruとは今作が初の手合わせ。

 「歌が始まる前のダララララ~♪って駆け上がっていくアレンジがオープニングにすごく相応しくて。あと、この曲には落ちサビがないんですけれど、落ちサビがないなりに、適所にブレイクを設けてくださったりしてまとめてくださいました。私の曲にはバラードが多いんですけど、こういう明るい曲って、曲に声が負けるかどうかって、ちょっと心配になったりするところもあるんですね。だけど、それをうまく、音数とか、載せる音もそうですけど、うまくバランスをとってくださって」。