話題の伝記映画「ボブ・マーリー:ONE LOVE」で改めて知る、レジェンドとその音楽
ヒットの理由
2024年2月、ボブ・マーリーのバイオピック「ボブ・マーリー:ONE LOVE」が海外で公開されるやいなや、初週が「ボヘミアン・ラプソディ」の記録を超える大ヒット。理由は、何か。その点をまず考察しつつ、本稿では映画の見どころと、世界で唯一、ボブ・マーリーの遺産管理を請け負うタフ・ゴング・エステートからフィジカル・リリースの許可が出たサウンドトラックの魅力を解説する。
1981年、享年36で亡くなったレゲエの神様は、生きていれば今年で79歳。亡くなってから43年だから、生きていた期間のほうが短い。バイオピックのヒットの主な理由は、「曲はよく知っているけれど、ボブの生涯はよく知らない」という層が増えていること。また、北米やアフリカでは、黒人の偉人として彼を学校で学ぶ人も多い。レゲエ・ファンを含め、彼の一生を知っている層の両方を満足させられる内容だったためだろう。
ボブの代表曲は、ストリーミング時代に入ってさらに強さを発揮している。1984年にリリースされたベスト盤『Legend』は非連続で833週間、ビルボード・アルバム・チャート200に入っている。イギリスのチャートに至っては、なんと1132週間もランクイン。数字にこだわり過ぎるのもよくないが、昔からのファンが毎日の入浴のようにボブの音楽で気持ちを洗い続ける一方、彼が生きていた時代をまったく知らないファンを新たに獲得しなければ達成できない記録だろう。